2017 Fiscal Year Research-status Report
タブレット端末を活用した国語科教育「見ること」のカリキュラム開発
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17K04748
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中村 純子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70761625)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育学 / 国語科教育 / 見ること / ビジュアル・リテラシー / タブレット端末 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国語科教育において、ビジュアルリテラシーの育成に対応する「見ること」のカリキュラム開発を目指すものである。平成29年度は国内の先行研究の把握として、書籍を中心に資料収集にあたった。さらに、Julie Keaneより“Media Production and Analysis An Introduction”(2015 Impact Publishing)の翻訳権を得て、共同翻訳に取り組んだ。5月26日に全国大学国語教育学会岩手大会において、国際バカロレア(以下IB)DP「言語A:文学」における「見ること」の指導方略の発表を行った。小学校から高等学校までの「視覚的スキル」を育むカリキュラムに関する知見を得た。また、海外の実践参与観察では、10月10・11日、バンコクインターナショナルスクールNISTを訪問した。この学校は小中高一貫のIB認定校である。山田浩美教諭のMYP中学3年生のMYPの国語の授業では魯迅『故郷』の授業の発展課題として、映画トレーラーの制作に取り組ませていた。中学3年生の映像制作スキルの実態と共に、国際バカロレア・カリキュラムにおける映像作品の評価の観点が明らかとなった。 国内の生徒の映像制作に関する実態調査及び映像指導方略の解明にあたっては、iPadを活用し、ワークショップのプログラムを開発した。まず、8月7日に東京学芸大学公開講座で現職教員対象に、ニュース素材としてのインタビュー撮影のワークショップを行った。11月、大学生を対象とした中等国語科教育法Ⅳの授業ではiMovieの「予告編」のテンプレートを活用した大学紹介CM制作に取り組ませた。平成30年3月、中高生32名を対象にiPadを活用した映像制作ワークショップを行った。 以上のように、初年度はタブレット端末を活用し、映像を制作する表現能力を育む授業開発に重点を置いて展開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、タブレット端末を活用した映像制作の実践開発として、成人から大学生、中高生を対象に展開しており、小学校段階での児童の映像制作の実態に迫ることができていなかった。また、映像制作、表現スキルに重点を置きすぎており、映像視聴能力、映像分析スキルの実践開発が遅れていた。また、ビジュアルリテラシーに関する理論的背景の追究がやや遅れていることが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究では、以下の計画を立てている。 A文献研究及び国内外の視察研究・国内外の文献収集に鋭意取り組み、カリキュラム開発のための基礎理論の構築に努める。西オーストラリア州の研究者、Julie Keane and Jan McMahonによるメディア・スタディーズ科のテキスト、“Media Production and Analysis An Introduction”(2015 Impact Publishing)の翻訳を完成させ、出版する。・海外の実践参与観察として、7月にIB国語研究会サマーセミナーを企画している。本企画では海外のIB校の教諭を10名招待し、実践事例の交流を行う。10月にバンコクのIB校を訪問し、実践事例の収集にあたる。11月には香港大学・ジャーナリズムメディア研究センターの鍛治本正人准教授を訪問する。・国内の学会参加としては、全国大学国語教育学会、日本教育工学会、教育メディア学会、国際バカロレア学会での発表や論文投稿を予定している。 B「見ること」のカリキュラム開発 ・児童生徒の実態に即した授業開発と実践においては、昨年度開発した映像制作実践の成果を元に、小中学校を中心に実践を展開し、カリキュラム開発の基盤構築に努める。・国内の専門家との協働による実践研究としては、一般社団法人リテラシーラボ、代表理事、千葉偉才也氏が展開する映像教育プロジェクトに参加し、実践の開発を進めていく。
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Causes of Carryover |
初年度は海外視察の受け入れ先が思うように決まらず、バンコクのIB校のみであったため、旅費を使い切ることができなかった。 次年度は視察先を開拓し、広く知見を得られるよう、旅費として使用予定である。
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Research Products
(1 results)