2018 Fiscal Year Research-status Report
タブレット端末を活用した国語科教育「見ること」のカリキュラム開発
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17K04748
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中村 純子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70761625)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育学 / 国語科教育 / 見ること / ビジュアル・リテラシー / タブレット端末 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、ビジュアル・リテラシーの活用の実態として、タブレット端末を活用した授業実践の開発と実態の調査と検証を中心に取り組んだ。 5月、第134回全国大学国語教育学会大阪大会で、バンコクIB校の『故郷』の映画予告編制作実践の分析を発表した。この研究成果は、12月、川崎市立川崎高等学校附属中学校3年生3クラスを対象に同様の実践を行い、その効果を確認することができた。 8月、現職教員対象の東京学芸大学公開講座では、iPadを活用して「酷暑」「立秋」を表現するニュース制作ワークショップを行った。この成果は、2019年1月に私立・佼成学園中学校1年生3クラスを対象としたニュース制作ワークショップに反映することができ、中学生の実態調査を行うことができた。 9月、東京学芸大学附属小金井中学校2年の1クラスを対象に、映像理解ワークショップを行った。特別活動で、iPadを活用した映像制作に取り組んでもらい、その成果から中学生の映像制作の実態を確認することができた。 大学生を対象とする中等国語科教育法において、タブレット端末を活用した実践を開発し、模擬授業を行った。①写真編集アプリPicCollageを活用し、組写真の物語作り。②フリーズフレームの演劇技法を用いた『羅生門』の1シーンの絵コンテ制作。③イラストと書道作品を素材に映像編集アプリiMovieを活用した『山椒魚』の映画予告編制作。④映像編集アプリVivaVideoを活用した『山月記』の映画予告編制作。⑤『桐島、部活やめるってよ』の小説と映画の比較分析。⑥学校紹介1分間CM制作。 これらの実践調査から得られた知見を基に、積才房合同会社の協力を得て、映像の特質と仕組みの理解を促す映像教材の開発に取り組み、3月に動画撮影を行った。指導案を含めた教材開発を鋭意継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目に入り、タブレット端末を活用した授業実践開発が進み、活用の実態と国語教育における思考力、判断力、表現力の育成の可能性を見出すことができた。実際の学校現場で授業実践の検証を行うことができたことが大きな成果であった。 また、大学での模擬授業を通して、映像が文学作品の読解の成果を表現するツールとして有効であること、協働スキルを促し、学び合いを高める効果を確認することができた。これは国語科教育における映像制作を活用したカリキュラムを開発する上で大変有効な発見であった。 また、報道のジャンルにおける映像制作の実践形式が確立してきたことも大きな成果であった。 ただし、中学校の実践調査が中心となっていたこと、また、文学教材も中学校、高等学校の定番教材が中心だったので、小学校で活用できる教材開発と実態調査を進めていきたい。 2018年度の海外の実践参与観察では、漫画の読解技法やテレビCMの視聴分析の実践が多く、映像制作を取り入れる本研究が先進的なものであることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
A文献研究及び国内外の視察研究 ・国内外の文献収集に鋭意取り組み、カリキュラム開発のための基礎理論の構築に努める。・Julie Keane and Jan McMahonによる“Media Production and Analysis An Introduction”(2015 Impact Publishing)の翻訳は完了したので、日本語版にむけての編集を進め、出版する。・海外の実践参与観察として、7月にIB国語研究会サマーセミナーを企画している。本企画では国内海外のIB校の教諭を5名招待し、DP「言語と文学」を中心にメディア・リテラシー実践事例の交流を行う。10月にバンコクのIB校を訪問し、実践事例の収集にあたる。・国内の学会参加としては、全国大学国語教育学会、日本教育工学会、国際バカロレア学会での発表や論文投稿を予定している。
B「見ること」のカリキュラムおよび教材の開発 ・児童生徒の実態に即した授業開発と実践においては、昨年度開発した映像制作実践の成果を元に、小中学校を中心に実践を展開し、カリキュラムの完成に努める。映像の特性理解を促す教材開発を完成させる。
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Causes of Carryover |
本年度は初年度に購入したiPadを活用した実践開発に重点を置いたため、予算を使い切らないままとなってしまった。 次年度は研究のまとめとして、データ分析の人件費やまとめとしての報告書発行などの予算に使用することが見込まれる。
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Research Products
(2 results)