2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K04752
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 哲夫 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (90187211)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 対話 / 鑑賞 / 他者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,倫理学者のスティーヴン・ダーウォルの理論に注目し,二人称的観点と対話による鑑賞の関係を,ペアによる鑑賞の調査実験によって調べた。そこで分かったことは,ペアの対話はどの場合も二人称的観点を含んだ他者の性格を持っていたものの,作品との対話は,他者との対話が行われる場合もある一方,作品を単なる対象物として見做す場合もあるということである。 平成元年度は,鑑賞での対話の様相をさらに詳しく探るために,細かい改良を加えて再びペアによる自由鑑賞の実験を行った。今回,鑑賞する絵として被験者の三組のペアが選んだのは,エドヴァルド・ムンク《声/夏の夜》1896年,ヴィルヘルム・ハンマースホイ,《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》1910年,ピーテル・ブリューゲル(父)オリジナルの模写とされる《イカロスの墜落のある風景》1560年代であった。そして,今回は,単になされた対話から作品の他者性に触れていると思われる要素を抽出するだけでなく,ペアの対話の内容と質の分析を行った。 研究のもう一方の柱である対話論の理論的検討に関しては,対話型鑑賞論や前回の他者性対話論以外の,具体的な対話論にも対話とは何かを考えるヒントが見つかるかもしれないという考えから,様々な目的を持った実践的な対話論(方法論)の検討を行った。 一つ目は,フィンランドで行われている,統合失調症に対する治療のための新しい手法である「オープンダイアローグ」である。この手法は,医療を超えた日常生活における人間関係に関わった問題への有効性にも関心が集まっている。二つ目は,中田豊一、 和田信明等による「対話型ファシリテーション」である。これは「メタファシリテーション」とも呼ばれるものである。三つ目は,細川英雄の対話の技法ではなく対話の内容に意識を向けるべきだとする対話論である。これらの,特色のある三つの対話論の比較検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度終盤,新型コロナ感染症拡大対応の影響で,発表のエントリーをしていた学会が突如中止になってしまうなど,研究活動に支障が生じた。また,同じ理由で,調査活動も部分的に出来なくなったものがあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度のまとめの年に当たるが,追加の鑑賞の調査が必要である。一人で美術作品を鑑賞してもらった後,被験者にインタヴューする形式の調査を行い,これまでのペアの鑑賞と比較する予定である。また,文献研究については,他者性の他者についての哲学的理論と実践的対話理論の接点の追究に注力する。
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Causes of Carryover |
発表予定だった学会が新型コロナ感染症の影響で中止になるなどで,予定の旅費が消化出来なかった。 また,実験での鑑賞に使う複製画資料で,実験に適切な作品の選定において非常に選択幅が広く有用であった米国のオンラインショップサイトが閉鎖され,それに代わる店を見つけることが難しく,一部の複製画しか入手出来なかったことなどから,資料や機材の購入を次年度に持ち越すこととした。
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Research Products
(2 results)