2017 Fiscal Year Research-status Report
法的推論に基づく子どもの深い思考体制を育成する主権者教育の学習理論・実践開発
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17K04755
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
中平 一義 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (50758597)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 主権者教育 / 法教育 / 法的推論 / 教材開発 / 社会科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、社会的・政治的事象と、子どもの認識との間に存在する乖離を架橋することができる主権者教育の学習理論の構築と教材開発、その実証研究である。本研究では、法学教育における法的推論を身につける教育方法を活用した主権者教育の研究を行う。具体的には、次の6つの研究を目的とする。つまり、(1)法学における法的推論の内容とそれらを育成するための理論研究、(2)法的推論を社会科教育で活用するためのプロジェクト型学習(プロジェクトベースドラーニング)の理論研究、(3)(1)(2)を踏まえた主権者教育の学習理論の構築、(4)(3)の構築のために、アメリカ合衆国のナショナル・イシューズ・フォーラムズ(以下、NIF)の熟議民主主義フォーラム活動の研究、(5)(1)から(4)を踏まえた教材開発、(6)開発した教材の実証的研究である。 1年目である平成29年度は、次のような研究を行った。(1)の一部及び、(2)の理論研究を行った。その成果は、学会におけるは発表や論文等で公表した。さらに、(4)について、アメリカ合衆国ワシントン州立大学で行われたNIFの熟議民主主義フォーラム実践の現地調査、さらには授業者及び受講者に対するインタビュー調査を行った。(4)の現地調査に関して、実践の内容がアメリカの移民問題に関するものであった。アメリカにおける現代的な課題を、社会科学等の専門家の知見を援用して作成した冊子を基にして熟議民主主義フォーラムを行っていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、6つの研究目的のうち(1)の法的推論についての理論研究、(2)のプロジェクト型学習の理論研究、そして、(4)のNIFへの調査を行った。NIFの教材研究及び実践の現地調査、授業実施者や学習者へのインタビュー調査を行った。調査は、アメリカ合衆国ワシントン州立大学において実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究の結果から、(3)の学習理論の構築のために(4)のNIFの教材作成に関して詳細な調査を行う必要が生じため、平成30度中にNIFの本部において教材作成に関する調査及び実践の現地調査を実施する。同時に、(1)の中でも残された法的推論を育成するための研究、(2)のプロジェクト型学習理論とNIFの教材作成に関する方法的見地を援用して(5)教材を開発する研究を行う。特に、子どもの生活圏における社会的・政治的事象に関する認識と、実社会の社会的・政治的事象を架橋するために、子どもが法的推論を活用して考察することができる教材開発を行う。教材開発にあたっては、法の専門家である弁護士や、現場教師の協力により協働して行う。また、(6)の作成した教材を実際に実践することにより、効果の検証を行う。そこで得られた知見を基にして、理論及び教材の再検討・再構築・再開発を行う。
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Causes of Carryover |
研究協力者の人件費・謝金が不要であったため当該助成金が生じた。今年度は、研究会等でその分の人件費・謝金を使用する予定である。
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