2017 Fiscal Year Research-status Report
戦後の「社会科世界史」の理論と実践が有する特質の解明
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17K04756
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
茨木 智志 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (30324023)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会科世界史 / 社会科歴史教育 / 世界史教育 / 世界史教育理論 / 世界史教育実践 / 歴史教育史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後において社会科教育としての世界史学習を追究してきた「社会科世界史」の特質を、その理論と実践に焦点を当てて、歴史的に解明することにある。具体的には、1949年実施開始から現在までの高校世界史教育の展開の中から、特に「社会科世界史」の追究を取り上げ、その理論と実践の特質を解明することで、現在の歴史教育の課題に応えることを目指す。 本研究第1年目の2017(平成29)年度においては、研究実施計画に記載したように1950年代前半の時期における「社会科世界史」を対象に資料の収集と考察を進めるとともに、「社会科世界史」の前提となる戦中・戦後の歴史科外国史教育について「社会科世界史」の観点からの検討も行なった。この歴史科外国史教育の実態は、本研究の対象とする「社会科世界史」教育が発足当初に直面した課題であり、さらに「社会科世界史」との断続と連続を明示するためには、その解明が不可欠と判断した。戦中の歴史科外国史教育について得られた知見はその成果を報告し、論文として公開した。 1950年代前半の時期における「社会科世界史」の背景となる世界史教科書の状況について、さらに「社会科世界史」を近代以降の日本歴史教育史に位置づけた考察については、一部成果を次年度に発行する予定である。 また、「社会科世界史」の実践者に対する聞き取りについては、一部を今年度に刊行することができた。さらに別な人物への聞き取り調査を開始して複数回にわたり実施し、多くの資料や情報を得た。聞き取り調査は次年度においても継続して、その記録を刊行する予定であり、並行して資料や情報の整理を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究実施計画での1950年代前半の時期における「社会科世界史」を対象とした資料の収集と考察については、一部に進行中のものが残されている。しかし、上記の「研究実績の概要」で述べたように関連した研究の成果は公表を終え、また、いくつかの事項についての次年度における公表のめどはついている。聞き取り調査についても、上記の「研究実績の概要」で述べたように一部の公表を終えており、また調査は順調に継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究第2年目の2018(平成30)年度は、前年度における「社会科世界史」の1950年代前半の理論と実践に関わる資料の収集と考察、そして聞き取り調査により得られた資料と情報を踏まえて、「社会科世界史」の1950年代後半の理論と実践に関わる資料の収集と分析および「社会科世界史」の1960~80年代の理論と実践に関わる資料の収集と一部の分析を進める。 前年度において一部資料の収集が残されているが、一方で一部の聞き取り調査を先行してきた。また、1950年代前半の「社会科世界史」の背景にある敗戦をはさんだ1940年代の歴史教育との関係も考察の必要があることが確認された。これらを含めて、当初の計画にそった研究実施を目指し、並行して聞き取り調査を継続する。得られた成果は適宜に学会・研究会等で報告することで批判を仰ぐ予定である。
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Causes of Carryover |
複写での資料入手に関わり当該機関の都合により次年度での使用となった。そのため翌年度における計画の中で実施する予定である。
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Research Products
(3 results)