2017 Fiscal Year Research-status Report
証明をツールとした数学的探究を促進する累積的な授業のデザイン
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17K04764
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
茅野 公穗 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20400658)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中学校数学 / 証明 / 授業デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,証明をツールとした数学的探究を実現するための累積的な授業のデザインに関して,以下の●点の成果を得た。 ●授業デザインのための原理・原則(暫定版)の設定 数学的探究におけるツールとしての証明の概念規定,ツールとして証明を用いることを踏まえた証明することの概念規定について先行研究を参照しつつ検討した。その結果,まず,証明することの意味を「前提と結論の間に命題の演繹的な連鎖を形づくり表現する」こととした。その上で,ある探究者にとって証明がツールとなるためには,少なくとも,「探究者,目的,証明」のセットが必要であり,このセットを活動を分析する単位として設けることとした。次に,上述の証明あるいは証明することの特徴に基づき,授業における重点として,(1)探究者自身が素朴な証明を構成すること,(2)その素朴な証明から証明の構成要素を顕在化すること,(3)証明する目的に照らして評価・改善することを初期から導入することなどを導いた。 ●累積的な授業(暫定版)の考案 証明をツールとした数学的探究を実現するために,「数と式」について中学校第2学年での単元,授業毎の学習指導の重点を明確にするとともに,それを踏まえた第3学年の単元,授業毎の学習指導の重点を明確にした。とりわけ,小単元「簡単な多項式」において証明することを具体化し,学習課題を具体化するとともに,累積性を踏まえた学習指導の重点を設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下に記すように,おおむね当初の予定通り進捗しているため。証明をツールとした数学的探究を実現するための累積的な授業をデザインするための原理・原則(暫定版)を設定した。また,これら原理・原則に基づき,中学校第2学年を踏まえた中学校第3学年の小単元「簡単な多項式」に全般に渡る授業デザインを暫定版として考案し,平成30年度に実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,中学校数学科の領域「数と式」,「図形」での証明をツールとした数学的探究を実現するための累積的な授業のデザイン(暫定版)を行う。また,これらの授業デザインに基づき授業を実施し,ビデオ記録や記述物複写などのデータ収集及びデータの質的な分析を通して,授業デザインの改善点を特定する。ただし,当初予定した授業実施予定学級の一つが人事異動により実施を断念せざるを得なくなったため,授業実施学級を減じる予定である。さらに,意図した活動を実現するため,授業デザインの改善点の一環として,授業をデザインするための原理・原則を適宜修正する。
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Causes of Carryover |
(理由)国際学会への参加を通しての研究情報の収集を校務との日程があわずに断念したため,次年度使用額が生じることとなった。 (使用計画)次年度以降の国際学会への参加による情報収集もしくは,日本国内での学会参加のための旅費に使用する予定である。日本国内での学会に変更したとしても,日本の学習環境に特化した情報収集が見込める。
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