2019 Fiscal Year Research-status Report
初等中等教育における批判的思考を志向した統計指導プログラムの開発
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17K04765
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松元 新一郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (40447660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 良宏 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80344539) [Withdrawn]
熊倉 啓之 静岡大学, 教育学部, 教授 (00377706)
青山 和裕 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10400657)
川上 貴 宇都宮大学, 教育学部, 講師 (90709552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 統計指導 / 批判的思考 / 初等中等教育 / 教科書分析 / 授業実践 / 指導プログラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の初等中等教育における批判的思考を志向した統計指導プログラムの開発を行うことである。 2019年度は、科研全体会を2回開催し、研究発表・協議・情報交換を行うとともに、主として次の4つの視点で研究を進め、中間報告書を発刊した。(1)中学校数学教科書(新学習指導要領の移行措置に伴う補助教材)における統計分野の批判的思考に関わる分析を行った。(2)小学校と中学校、中学校と高等学校の接続を意図した教材開発と実践を行った。小学校2本(小4「2つの折れ線グラフを比べよう」、小6「修学旅行のお小遣いって、いくらがいいの? (資料の調べ方)」)、中学校1本(中1「どちらの病院を選ぶ?」)の研究授業及び協議会を実施した。(3)児童・生徒の批判的思考力の実態調査を行うための数学教育における批判的思考の枠組みを検討しながら調査問題を作成し、予備調査を経て本調査を行った。解答類型ごと・学年ごとの反応率を集約した1次分析を行った。(4)散布図作成ソフト(仮称statscatter)の開発に向けてメンバーで議論した。 日本科学教育学会・年会において,課題研究「初等中等教育における批判的思考を志向した統計指導に向けて(2)」を企画・運営し,研究発表及び質疑を行った。なお、(1)は、2019年度日本科学教育学会・年会において発表、(2)は2020年度の日本科学教育学会・年会において発表予定、(3)は、1次分析を2020年度の日本科学教育学会・年会において発表予定で、2次分析を日本数学教育学会誌に投稿予定、(4)は、2020年度に散布図作成ソフトを研究室のweb上に公開予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研の申請段階における2019年度(3年次)の計画は、主に「教材開発・実践」「実態調査」「統計ソフト開発」「指導プログラム開発」であった。 「教材開発・実践」は、科研全体会での議論を踏まえて、3本の研究授業・研究協議会の実施をすることができた。また、研究協力者(小中高の教員)が教材開発を行い、科研全体会で議論を行い、次年度に向けて授業づくりを進めることができた。 「実態調査」は、小中高の児童・生徒を対象とした統計分野における批判的思考力に関わる実態調査を行って、解答類型ごと・学年ごとの反応率を集約した1次分析を行った。たとえば、統計に関わる批判的思考を問う問題では、「主張したいデータがないのにも関わらず結論を導いていること」「割合の大きい方が必ずしも実数が多いとはいえないこと」「外れ値の影響によって平均値がずれること」「相関があっても因果関係があるとはいえないこと」「箱ひげ図を読み取ること」を批判的に考察することに対して課題があることが分かった。 「統計ソフト開発」は、研究室の新webサイトに掲載したstatlook(ヒストグラム・箱ひげ図統合ソフト)に対して、中学校で使う事例が報告されている。また、開発に着手している散布図作成ソフト(仮称statscatter)について、研究協力者(統計ソフト開発者)と連携をして原案を作成し、科研全体会において原案について意見交換を行うとともに、日本数学教育学会・秋期研究大会で発表を行った。 「指導プログラム開発」は、これまで行ってきた「外国資料分析 」「教科書分析 」「教材開発・実践」「実態調査 」「統計ソフト開発」の研究成果を踏まえ、学習指導要領改訂(平成 40 年前後)に向けた統計カリキュラムへの提言を検討した。2020年度の日本数学教育学会・春期研究大会において、その一部を発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度(最終年度)は、これまでの研究成果を踏まえて、「指導プログラム開発」を行うことを主とする。具体的には、小学校、中学校、高等学校の各学校段階の終了時で求めるべき批判的思考の段階と統計の指導内容を検討する。また、数学の他領域(主に、数と式、関数)の指導内容、及び、他教科で求められている統計の内容(たとえば、社会科における統計図表の読みに関わる指導内容など)についても同時に検討する。さらに、策定された大学の学士課程における統計教育についての「統計学分野の教育課程編成上の参照基準」を踏まえ、小学校・中学校・高等学校・大学の接続を考慮した統計指導プログラムを検討する。
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Causes of Carryover |
2019年度に実施予定の「カリキュラム・教科書・授業の収集・分析」のうち、オランダの算数・数学科教科書を入手することができず、次年度使用額が生じた。2020年度は、オランダに渡航し、教科書購入及び現地視察を計画・実施を予定している。
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Research Products
(15 results)