2019 Fiscal Year Research-status Report
身体動作を喚起する音楽の定量的研究:動きに適したオーダーメイド音楽の作成にむけて
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17K04770
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河瀬 諭 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (90507469)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 音楽 / グルーヴ / ノリ / 身体動作 / 感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
音楽を聴いて体を動かしたくなる感覚はグルーヴといわれる。近年グルーヴの研究が進み、運動科学や生理学、神経科学などの様々な側面から知見が積み重ねられている。とくに心理学においては、聴覚に対する刺激によって身体運動感覚が喚起されるグルーヴのような現象の検討は、聴覚と運動の連絡に関する認知メカニズムを明らかにする意義がある。のみならず、グルーヴの応用は、療法や教育など幅広い実践分野に寄与する。例えば、パーキンソン病などの医療現場でのリハビリや、健康増進のためのエクササイズ、ダンスのレッスンなどを円滑にする効果が期待される。そこで本研究では、音楽の様々な音響的・音楽的特徴がどのようにグルーヴと関連しているか検討した。これを通じ、音と身体運動の組み合わせによる影響を実証することで現場への応用を目指した。先行研究では、リズムに関する要素が注目されて検討されることが多かった。一方、実践場面に応用するためには、リズムだけでの呈示に加えて、リズム以外の音楽的要素も検討する必要がある。したがって本研究では、音楽の感情的要素にも注目して聴取実験を実施した。今年度は主にオンライン実験を実施した。実験では、音楽の感情的要因とリズムの要因について検討した。本研究から、グルーヴと感情の関連について新たな結果を得ることが出来た。 さらに本年度は、より実践場面に近い日本体力医学会での講演や、音楽と身体運動に関するウェブ連載記事の執筆などのアウトリーチ活動も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着実に本研究を進めてきた。本年度は、オンライン実験の導入なども行いながら、音楽と身体運動の解明に関するデータを収集した。また、研究の実施や国際会議での発表採択だけでなく、研究成果や本研究に関連する先行研究のまとめ等を様々な場面で発表してきた。発表場面は、学術研究にとどまらず、ウェブでの記事連載などでも本研究について発信した。 加えて、これまでの研究から検討すべき新たな内容が見つかったため、実験実施のための機器の導入や、計測機器の作成なども進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
実験的手法を用いてより詳細なデータを収集する。そのための機器の導入や、計測機器の作成なども順次進めている。これらを用いて研究を実施する。実験のデータや研究結果について、適宜成果を発表する。また、成果発表の実施だけでなく、より実践場面への応用を見越したアウトリーチ活動も実施したい。 本研究の最終的な総括として、音楽と身体運動に関する認知メカニズム解明を通じ、実践場面への貢献を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究を行う中で、これまで対象としていなかった新たな指標の計測が重要である可能性が浮上した。それゆえ、新たな実験のための機器の準備に時間がかかり、研究実施や成果発表を持ち越したためである。
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Research Products
(5 results)