2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of Teaching Themes and Model Taking "the Expanding of Art" into Art Class: Based on Concept of "Play" in Art Education
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17K04780
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
宇田 秀士 奈良教育大学, 美術教育講座, 教授 (20283921)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 美術科教育 / 造形表現 / 図画工作 / アート概念の拡張 / 内発的動機づけ / 遊び / 材料体験 / 鑑賞活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
<課題1美術教育における「アート概念の拡張」の整理・構築><課題1に基づく題材及び授業モデルの開発と実践・検証><課題3美術教師教育プログラムへの展開>の3つの研究課題を進めた。代表者が整理した研究課題1の内容について幼小中高教員である研究協力者と意見交換の上,<単元・題材>並びに授業モデルを開発し,研究協力者の勤務校で,その実践・検証を行った(研究課題2)。 課題1 柴田和豊氏,長田謙一氏,神野真吾氏などの芸術教育活動に対する論考を基にした提案を先行研究として参照し,2017年3月改訂の小中学習指導要領の中核事項とも関連させ,「アート概念の拡張」の考察を進めた。また,「アート概念の拡張」を活用していると考えらえる奈良,大阪などの現役教師に対する面接調査と,その教師が実践している授業観察を行い考察の基礎資料をつくった。さらに,現代アートと教育実践との繋がりについて,その原理と教育原理の共通基盤について考察するために,現代アートの授業への取り入れについての先達である海外研究協力者のウアラス教授(ドイツ・ハイデルベルク教育大学)やトク博士(米国・カリフォルニア州立大学)などと情報・意見交換した。 課題2 研究協力者との打ち合わせ会議の場で,課題1に関する代表者からの報告を受け,各協力者は先行実践を学び,各勤務校の情報を交換・検討し,紙コップや紙皿など身近な材料を用いた題材,様々な材料を用いた版題材,様々な紙や光源を用いた光を活かした題材,伝統文化財から展開する題材,表現に連鎖させる「鑑賞遊び」などの<題材及び授業>モデル開発を進めた。 課題3 これらの成果をふまえて大学教師教育に取り入れ,一部を現職教員研修会で実施し,改善案を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<研究課題1>に関しては,文献調査,現場訪問,海外研究協力者との意見交換を通じて,考察を行なった。そして,その一部については,第41回美術科教育学会北海道大会(於:札幌大谷大学)で,「美術教育の「遊び」概念における<アートの拡張>について-実際の授業像や教師の意識をふまえて-」と題して口頭発表した。その上で発表参加者と発表内容について意見交換をし研究内容を彫琢した。 <研究課題2>に関しては,紙コップなど身近な材料を用いた題材,様々な紙や光源を用いた光を活かした題材,伝統文化財から展開する題材,表現に連鎖させる「鑑賞遊び」などの<題材及び授業>モデル開発を行った。また,3Dスキャナー・コピー機器活用の「キャラクターづくり」題材については,昨年度,第40回美術科教育学会滋賀大会(於:滋賀大学)で口頭発表した内容に加筆修正を行い,「個人向け3D機器を用いた<図画工作・美術科授業題材>開発のための基礎研究」として『奈良教育大学 次世代教員養成センター 研究紀要』第5(通巻41)号に誌上発表した。 <研究課題3> これらの成果をふまえて大学教師教育に取り入れ,日々の授業や学生・院生指導を行った。また,2018年6月開催の奈良県図工・美術研究会総会講演(県内教員向け研修会)や2018年8月開催の中高教員向け免許更新講習で実施し,改善案を作成した。さらに,2018年11月開催の日本教育美術連盟主催第69回造形表現・図画工作・美術教育全国大会奈良市大会(幼小中高教員の全国大会)とも連動させて,奈良市立伏見小学校,奈良市立富雄南中学校,奈良市立平城東中学校,奈良教育大学附属中学校などで教員研修を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
<研究課題1>に関しては,文献調査,海外共同研究者のウアラス教授(ドイツ)やトク博士(米国)との意見交換を通じて,考察をさらに深める。ドイツの芸術家ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)の言う「拡張された芸術概念」や「生きる術として芸術」といった理念的枠組み,ヴィジュアル・カルチャー,マルチメディア時代のアートの拡がり,既存の題材との関係性などについて,2017年改訂学習指導要領の中核事項とも関連させ,小論にまとめる。 <研究課題2> 前年に引き続き,以下の研究協力者との打ち合わせ会議の場で,代表者は課題1に関する報告を行い,各協力者は先行実践を学び,検討・実施・検証する。身近な材料を用いた題材,様々な材料を用いた版題材,様々な紙や光源を用いた光を活かした題材,伝統文化財から展開する題材,表現に連鎖させる「鑑賞遊び」,3D機器を利用した題材,木片題材,描画材を工夫した平面題材などの<題材及び授業>モデル開発を実施・検証していく。 <研究協力者> 岡田陽子(四天王寺大/奈良佐保短大 非常勤), 吉田和子(常磐会学園大非常勤/奈良県立青翔中),石垣倫生(近大附属高),田邊憲幸(茨木市立東中),臼井佳奈(大阪市立住之江中学校),尾西啓充(平群町立平群小),松本隆行(大和郡山市立郡山南小),加舎章二郎(独立研究者/元八尾市立亀井小学校),麻生実希(奈良育英学園幼稚園),辻大地(こどもアートスタジオ),赤座雅子(子ども絵画造形教室Kids'craft主宰),宮崎藤吉(独立研究者)ほか。 <研究課題3> これらの成果をふまえて大学での教師教育に取り入れる。また,昨年度2018年11月開催の日本教育美術連盟主催第69回造形表現・図画工作・美術教育全国大会奈良大会(幼小中高教員の全国大会)の研究基盤を継続させ,奈良県内を中心に教員研修を進める。
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Research Products
(8 results)
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[Book] 美術教育学の歴史から<美術科教育学会叢書第二号>2019
Author(s)
責任編集:金子一夫, 編者:美術教育学叢書企画編集委員会(永守基樹,水島尚喜,相田隆司,山木朝彦),著者:金子一夫,赤木里香子,長瀬達也,牧野由理,西村德行,山田一美,有田洋子,三澤一実,新関伸也,和田学,大泉義一,立原慶一,石﨑和宏,王文純,上山浩,栗山裕至,福田隆眞,福本謹一 ,編集協力:岡崎昭夫,新井哲夫,宇田秀士
Total Pages
234
Publisher
学術研究出版/BookWay
ISBN
978-4-865-84395-8
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