2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Extension Processes of Views on School Subject in Japanese Language Teachers Involved with Regional or International Education
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17K04784
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
丸山 範高 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50412325)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国語科教師 / 教師の学習 / 教科内容観 / ナラティヴ・アプローチ / 国際バカロレア / 教師の専門性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高校国語科教師が、教科書教材に依存した正解収束型解釈中心の授業を支える教科内容観(国語科授業のあり方についての考え方)を、地域教育実践あるいは国際教育実践に関わる経験を通じて、変容・拡張するに至る教師としての学習プロセスの多様性を解明した。地域密着型高校あるいは国際バカロレアカリキュラム校に勤務する教師をそれぞれ研究協力者として選定し、授業観察と、授業の事実に基づくインタビュー調査とを一定期間をあけて複数回実施した。 3年間の研究成果として、教師間での共通点は2点に集約できる。①教師を取り巻く教育環境(生徒の実態や教育課程の特殊性)が、現象としての授業に影響を及ぼし、教科内容観の変容を導いていた。教科書教材に依存し正解収束型解釈中心の授業を脱却し、教科書教材を手がかりとしつつも、教材から表象される教材世界観の生徒一人ひとりの実存的意味を追究する授業(およびそれを支える教科内容観)を生み出していた。②経営学・心理学研究をベースに編み出された「経験から学ぶ能力のモデル」(松尾睦2011)に示された5要因(「ストレッチ」「リフレクション」「エンジョイメント」「思い」「つながり」)に相当する内容が教師たちの教科内容観の変容に至る過程に見出せた。つまり、それまでの慣習的実践に変容を迫る経験をしたことにとどまらず、その経験を上述の5要因相互の関係性の中で意味づけていたのである。 また、教師間での相違点は、教科内容観変容に至るプロセスや変容後の現在の教科内容観の違いに集約できる。たとえば、教材開発・教材解釈に重点を置く教師と、生徒の学習システムの充実に重点を置く教師とでは、プロセスに違いが見られる。 なお、本年度は、国際バカロレア教育実践に取り組む教師の事例を中心に分析を進め、その成果の一部を、日本教科教育学会第45回全国大会(2019年10月14日)にて口頭発表した。
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