2017 Fiscal Year Research-status Report
教科の固有性と共通性を視点とする社会系教育の学力形成に関する理論的・実践的研究
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17K04787
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| Research Institution | Okayama University |
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Principal Investigator |
山田 秀和 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (50400122)
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2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 教育学 / 教科教育 / 社会科 / 教科の固有性と共通性 / 学力形成 / カリキュラム・授業 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は，教科の固有性と共通性を視点にして，社会系教育の学力形成論を理論的・実践的に究明することにある。一年目となる本年度は，前年度までの研究課題（「教科や科目の分化と統合を視点とする小・中・高を通した社会系教育カリキュラムの研究」）を，「学力形成」という観点から新たに発展させるべく，以下のような取り組みを行った。
１．資料の収集。本研究は，国内外の事例に手がかりを求めて進める。そのために，教科の固有性を重視するものから各教科に通じる共通性を重視するものまで，社会系教育の学力形成に関わる様々な資料を収集した。具体的には，教科固有の資質・能力や汎用的な資質・能力に関する理論書およびカリキュラム・授業の事例集等を集めた。特に本年度は，教科構成の傾向が異なるアメリカとイギリスの社会系教育に関するものを中心に集めた。
２．国内外の研究動向の調査。社会系教育の教科の枠組みやその性格，そして学力形成に関する近年の研究動向を調査した。
３．教科の共通性を重視した社会系教育の学力形成に関する考察。本研究においても，まずは，前年度までの研究課題から引き続き，アメリカにおける社会科とリテラシー教育の統合に注目する。言語的なリテラシーの育成は，様々な教科を通じて求められており，社会科においても統合のあり方が模索されてきた。本年度は，学力像や学力形成論に深く踏み込むための基礎的な考察として，教師が統合についてどのように考え，何をねらいにし，どのようにしてカリキュラムや授業を調整しているのか，すなわち，どのようにゲートキーピングしているのかをアメリカの研究事例（社会正義志向の教師に関する研究）から読み解いた。限定的な事例に基づく考察ではあるが，今後の本格的な分析の基盤となる「現実的な調整を志向するゲートキーピング」と「革新的な調整を志向するゲートキーピング」の二つの方向性を見出すことができた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会系教育に関する固有性重視の考え方と共通性重視の考え方について，それぞれ下位の類型を仮説的に設定することを当初の目標にしていた。しかし，類型化に関しては，学力形成に関する個々の事例分析と同時並行で進めていくこともあらかじめ想定していた。したがって，本年度は，教科の共通性を重視した事例の分析を先行させて進めていくことにした。想定の範囲内の進捗状況なので，「おおむね順調」と判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は，固有性重視と共通性重視のそれぞれの学力像に関する考察や類型化を進めるとともに，それに基づくカリキュラムや授業の理論的なモデルを，収集した資料より抽出していく。その際には，根拠となる資料や情報をさらに幅広く集めるとともに，教師の役割についても目を向けることで，分析をより精緻で重層的なものにする。本研究の期間後半には，類型に応じて授業レベルの実践的なモデルを開発し，実践・省察を通して，学力形成論を体系的に整理する予定である。
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| Causes of Carryover |
本研究は文献等の資料に依拠する部分が大きい。一年目にあたる本年度は特に収集に力を注ぐ予定であった。しかし，必要な資料の調査が十分とはいかず，予定よりも購入できなかった。したがって，次年度に繰り越し，さらなる資料や情報収集のために使用する。
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