2018 Fiscal Year Research-status Report
リテラチャー・サークルを取り入れたアクティブ・ラーニング型授業の研究
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17K04798
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
立松 大祐 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (10756828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多良 静也 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (00294819)
池野 修 愛媛大学, 教育学部, 教授 (70294775)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アクティブ・ラーニング / 協同学習 / 英語リーディング / 話し合い活動 / リテラシー教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的の1つ目は、アメリカのL1教室で実践されているリテラチャー・サークル(LCs)の取組から、日本の英語教育に取り入れる内容や方法、実施可能性 を研究することである。2018年度は、ワシントン州の2校の小学校での実践、カリフォルニア州のインターナショナルハイスクールでの主に移民の生徒を対象にした実践を観察した。さらに、オーストラリアにおいてもLCsの取組が広がっていることが分かり、シドニー大学のAlyson Simpson准教授とともに、シドニー郊外の小学校での実践を観察することができた。得られた知見は勤務校の大学、附属中学校での実践に応用されている。 目的の2つ目は、大学、中学校においてLCsを取り入れた実践を行い、実際的な教授法を開発することである。大学においては1回生を対象に8回の実践を行い、附属中学校での実践につながる指導方法の検討を行った。また、附属中学校では、3年生の授業においてLCsを取り入れた授業を計画的に実施していただいた。これらの授業観察と授業実践は、「読み手を育てるアメリカの教室ー外国語科における主体的・対話的で深い学びの実現を目指してー(第30回四国英語教育学会香川研究大会)」、「教科書のリーディングを起点とした技能統合型の授業づくり-リテラチャー・サークルの実践を通して-(河野圭美氏と共同発表、英語授業研究学会第30回全国大会)」、「リーディングを起点とした統合的な言語活動の実践ー大学と附属中学校が連携して取り組む、読んだ英文をもとに話し合う活動ー(英語授業研究学会関西支部第30回秋季研究大会)において口頭発表を行った。 3つ目は、LCsでの学習は総合的なコミュニケーション能力を育成するための効果的な方法か検証をすることである。附属中学校の授業ではグループでの話し合い活動を録画し、生徒の英語使用の変容を捉えるための取組を始めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究計画では、1)中・高等学校での授業実践を通して、生徒の発達段階に応じた指導方法を検証・開発すること、2)LCsがコミュニケーション能力育成に資するか、話し合いの観察や外部テスト等で評価することを挙げている。1)について、高等学校での授業実践はできていないが、高校生よりも英語力が低いと考えられる中学生でLCsが実践できていることから、より低学年での実践に焦点を当てることが有効であると考えている。2)について、読んで話し合う活動を行うことの効果をすぐに求めることが不適切であることが文献研究、実践者との意見交換から判断されるため、現在のところ、外部テストでの効果測定は行っていない。つまり、コミュニケーション能力の向上は長期的に捉えることが必要であるということである。しかしながら、附属中学校ではLCsの回数とパフォーマンステストの回数を増やすことで、生徒にはよりアウトプット重視の意識を与えている。また、グループでの話し合い活動を録画し、生徒が何を話しているのかを可視化できるようにし、英語使用の変容を捉える取組を実施している。アンケート調査における生徒の自由回答では、LCsは生徒の英語を話す意欲を高めていることが分かっている。 これまでの研究で得られた知見の一部を中高の教員研修に取り入れることができた。本研究の最終段階ではLCsの指導方法を教員養成や教員研修に活用する計画である。2018年8月には愛媛県教育委員会の要請を受けて、LCs指導の研修を行った。2019年度も同研修を行う予定であり、研究成果の地域への還元が実現しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度はこれまでの調査・研究から得られたデータを整理し、授業実践と授業観察を取り入れる予定である。次に、学習者のコミュニケーション能力と自己効力感を高め、アクティブ・ラーニングに対応する教授法を開発すること。さらに、教員養成や教員研修に資する内容になるよう指導方法の開発をおこなうことである。 一つ目の計画については、特に附属中学校での実践において、グループでの話し合い活動を録画し、生徒の英語使用の量と質の変容について調査を行う予定である。これにより、LCsが生徒のコミュニケーション能力の育成に資する取組であるか精査する。二つ目の計画については、アメリカやオーストラリアでの小学校での取組、インターナショナルスクールでのELLを対象にした実践から、多くの中学校においてもLCsを取り入れることができるよう教授法開発につなげる予定である。3つ目の計画については、愛媛県教育委員会、松山市教育委員会と連携してLCsの指導を普及させるための研修を行う予定である。 研究成果としては、アメリカでの授業観察、大学や中学校での実践を記録した論文を投稿する予定である。また、四国英語教育学会や英語授業研究学会等での口頭発表を行う予定である。TESOLの発表時期が学生研修の引率と重なるため、5th. Interdisciplinary Conference in the Humanities (California State University, Sacramento)での発表を計画している。
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Causes of Carryover |
本研究助成以外からの資金調達により、購入予定であったノートパソコンを購入することができたため次年度使用額が発生している。次年度は、アメリカでの研究発表と追加調査を予定している。また、映像データを保存し分析するためのデスクトップパソコン、グループワークを観察する用途でのタブレット端末数台、リーディング研究やリテラシー教育についての専門書の購入を計画している。
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Research Products
(5 results)