2019 Fiscal Year Research-status Report
感性の涵養とコミュニケーション能力育成のための国際的俳句指導法の開発
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17K04799
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中西 淳 愛媛大学, 教育学部, 教授 (10263881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 俳句 / HAIKU / コミュニティ / 言語能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度において、北米における俳句の教材価値やその指導のあり方を探るための俳句プロジェクトを、俳句界の現状や教育界の先行研究を踏まえながら、トロント大学付属小学校の協力のもとに展開した。今年度は、国際的な俳句指導の基礎論を構築するために、俳句が教室のコミュニティづくりや学習者の言語能力の育成にいかに寄与するのか、さらに、それらを保障するためにはどういった活動をどのように展開する必要があるのか、また、具体的な指導の留意点として何が重要であるのかを、これまで行った実験授業の成果をもとに整理・検討した。その結果、Making(学内外の吟行等による創作)→Sharing(句会等による鑑賞)→Publishing(ブックレット・句集作成等による出版)といった活動の流れとそれらの循環を可能な限り保障すること、特にSharingは俳句指導において欠かせないものであり、そこで教師が学習者の俳句やその読みの有り様を見極めながら、他者(読み手)の読みを通して自己(書き手)の俳句の本質が立ち現れることを学習者に感得させていくこと、また、俳句特有の言語表現(例えば、「見たもの聞いたものに心情を託す・事物に観念を語らせる」「取り合わせ・ジャクスタポジション」「調子・リズム」といった技法等)に気づかせていくことが国内外を問わず重要であることを明らかにした。これらの研究成果は、アメリカのウイストン・セーラムで開催されたHaiku North America Conference in 2019において、「Haiku as a Tool for Community Building」という題目のもとで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に即して研究を進め、国際的俳句指導のあり方に関する成果を国際学会において発表したが、公表としてはそれで十分であるとはいえないため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画にしたがって、国際的俳句指導の展開していくための方策をさらに具体的に検討する。また、2019年に発刊された、アメリカの俳句の歴史に関する最新の研究書を購入し、北米の俳句事情の的確な把握につとめる。さらに研究成果の公表を積極的に行っていく。
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Causes of Carryover |
国際的な学会発表を予定していたが、それを変更せざるをえなくなったため。COVID-19の国際的な影響を考慮し、国内の学会発表旅費、必要な機器や文献の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)