2017 Fiscal Year Research-status Report
英語教師の学習モデルを構築するアクション・リサーチ
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17K04801
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
東條 弘子 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (00756405)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 現職教師の学習 / 授業の省察過程 / 授業実践録 / 教師認知 / 質的研究 / 教職課程 / 教授内容知識 / 教師の専門性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大学英語教師の授業実践録における傾向と特徴を継時的に捉え、授業に関する省察のあり方を分析し検討することにより、現職教師の学習過程を明らかにすることである。 本年度、主として取り組んだのは、授業実践録を継続的に記すことであった。一年間かけて、このことが執行されたことから、2015年度~2017年度の3年間にわたる実践録を残すことができた。また、当該実践録を包括的に考察するに際し、内容分析の方法を採用するにあたって、どの時期の記述内容を分析対象とするかを精査した。結果として、大学授業実施期間を半期ごとに区切り、4月または10月当初、及び7月または1月末期の記載内容を比較検討することとした。一文を一命題ずつ区切り、コーディングを実施することで、何についてどのような記載がなされているのかを明らかにすることが可能となる。 現時点における分析の可能性として手応えを得ているのは、以下の二点についての考察可能性である:①授業者の専門性と記載内容の関係;②記載内容の全体的な傾向と特徴。授業者の専門性が担保されている教職演習の授業に関する省察内容と、必ずしも授業者の専門性が問われない一般教養における英語授業に関する省察内容との間には、どのような共通点と相違点があるのか、また、省察録における全体像を把握し、継時的な傾向と特徴を捉えることで、3年間の教師認知にどのような変容が見られるのかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の授業実践録を、一日たりとも欠かさずに記録することができたので、「厚い記述」とみなし得るデータを入手することができた。また、分析方法としての内容分析に従事するに際し、一文を一命題で区切り、切片化していく作業がまもなく終了できる見込みが立っている。半期の授業実践録を分析し検討した経験をふまえれば、コーディングを実施する際のラベリングが既に可視化されているので、データ全体を通してこれらのラベリングが汎用可能であるかをまず確認する。新たに必要なラべリングが表出した際には、過去のデータを再び新たなラベリングを用いて洗い出す。問題が見つからなければ、新出ラベリングも加えた上で、包括的な考察を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
内容分析をこのまま遂行し、今年度中には論文の執筆と投稿を目指す。学会発表を経て、分析と考察結果について、客観的な視座に立つ助言を得る。
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Causes of Carryover |
国内出張が一件、取りやめになったことによる残額が生じたが、翌年度に繰り越し海外出張費の一部に充当する予定である。
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