2017 Fiscal Year Research-status Report
社会科における市民性教育の学習評価に関する理論的・実践的研究
Project/Area Number |
17K04803
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
藤本 将人 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (10404229)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 社会科 / 評価 / 学習 / アメリカ / 目標準拠 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者が行う研究の最終的な着地点は,わが国の社会科において有効な学習評価の理論と方法を開発し,それらの知見に基づく評価実践のモデルを追試可能な形で示すことである。 わが国の社会科において有効な学習評価の理論と方法を見出すために,現代のアメリカ社会科教育界が研究と実践を積み重ねている市民性育成教育の学習評価諸理論に着目する。分析から得られる思想・原理に示唆を得た上で,わが国で通用する評価実践を開発していく。宮崎大学附属小学校,附属中学校,宮崎県内における公立小学校,中学校,高等学校にて開発した評価実践を検証し,その有効性を証明するところまでを研究の射程としている。 本研究では,これらの課題を克服すべく,目的を「分析」と「開発」の二つに分けて設定する。「分析」については,アメリカ市民性育成教育(初等教育,中等教育,高等教育における社会科教育が該当)における学習評価諸理論について,「理論書及び関連教材における記述内容」「授業実践記録/評価実践記録の記述内容」「アメリカ人社会科教育研究者が行った学習者の認識変容分析に関する記述内容」の三つの観点を含む事象(書籍,博士論文)を分析対象として設定し明らかにしていくこととしている。 平成29年度の研究成果は以下の通りであった。概ね順調に進展していると考えている。【論文】藤本将人「日本における社会科評価研究の歴史的展開」全国社会科教育学会『社会科教育論叢』第50集,2017年3月,pp.121-130.【発表】藤本将人「アメリカ社会科における学習評価論の分析-学習動機への刺激と評価作業との関連性に着目して-」全国社会科教育学会第66回全国大会,2017年10月28日,於:広島大学。藤本将人「教科教育研究における学習評価研究の歴史的展開-市民性教育に着目して-」日本教科教育学会第43回全国大会,於:北海道教育大学札幌校,2017年9月9日。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は以下に示す「分析」と「開発」による方法で研究を進めている。 「分析」は,(1)現在のアメリカ社会科が育成を目指す人物像とはどのようなものか。(目標構造の抽出),(2)その目標を達成するために,どのような授業が組まれているのか。(授業構成理論の抽出),(3)その授業では,学習成果の評価の仕組みがどのように組み込まれているのか。(評価手法の分析),(4)評価の結果得られた情報は,具体的にどのように分析されているのか。またその分析ツールはどのように開発されているのか。(情報の分析手法の検討),(5)評価情報は授業や学習者の学びにどのようにフィードバックされているのか。(情報の利用方法の検討),で進めている。 「開発」については,(7)評価の目的は何かを定める。(評価目標の確定)。(8)この目的を達成するために学習成果の何を抽出するのかを定める。(評価内容の確定),(9)ターゲットとする学習成果をどのように抽出するのかを定める。(評価方法の確定),(10)抽出した情報をどのように価値づけるのかを定める。(評価規準・基準の確定),(11)決定した評価結果(成績及び授業改善のための指針)を子ども・教師にどのようにフィードバックするのかを定める。(授業の制御・子どもの育ちに関する帰還情報の確定),で進めている。 現在は,(1)→(2)→(3)→(4)→(5)という手続きを経ているところであり,学習評価の原理と評価技法を開発しているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は残された研究手続きである(7)→(8)→(9)→(10)→(11)を経ることを予定している。2018年度は学習評価実践を開発する過程(モデル)を明らかにしていく。さらに研究の進展を確認することができれば,開発したモデルをもとに,宮崎大学附属小学校,附属中学校,宮崎県内における公立小学校,中学校,高等学校にて検証し,その有効性を吟味する予定である。
|
Research Products
(9 results)