2019 Fiscal Year Research-status Report
音楽の理論学習が音楽聴取技能の発達に及ぼす影響に関する実験的研究
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17K04807
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
高橋 範行 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (40456348)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 音楽鑑賞 / 音楽構造 / 音楽理論 / 演奏学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、音楽構造に関わる知識の学習が音楽聴取の質に影響を及ぼすかを実験的に検証することである。 音楽科学習指導要領における「音楽的感受」が伴った学びにおいては、感受の中身を音楽の構造と関連させて説明できることが求められる。すなわち、音楽を聴取した際、音楽の構造面に注意を払って聴くことが重要となる。他方、我々が音楽を聴取する際は、既にもっている知識や認知上の枠組みによって、聴覚情報をトップダウン的に処理していることが明らかにされている。このことから、音楽聴取において音楽の構造に注意を払うには、学習者が音楽の構造を認知するためのスキーマ(構造に関わる知識)が必要になると考えられる。そこで本研究では、音楽構造に関わる知識(音楽理論)の学習によって、学習者の音楽聴取の質が変化するのかを、学習条件を統制した実験によって明らかにする。 学習効果が表れるためには、ある程度の学習期間が必要になると考えられることから、本実験はどうしても時間を要する。また、研究者が実験協力者の学習状況を定期的にチェックする必要があるため、一度に多くの協力者を対象として実験を実施することが難しい。このような理由から、本研究では実験協力者を複数のグループに分けて、グループごとに実験を進めている。 2019年度は前年度から継続して新たなグループを対象に実験を実施し、新たに数名分のデータを得た。また並行して、2018年度に実施した実験のデータ整理も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究は着実に進捗しているものの、計画に対して実験実施と結果分析のペースが遅れている。これは、当該研究以外の業務等に多くの時間を割かねばならない状況が続いているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
延長申請により、残りの実験を終える予定をたてていた。しかしながら新型コロナウイルスの拡大によって2019年度末より実験が中断され、以来実験が再開できない状況が続いている。本研究の実験には楽器演奏が含まれており、リモート等による対応が困難である。現在は大学による協力者(学生)の通学許可に関する検討状況をみながら、実験の再開時期の見極めを行っている。
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Causes of Carryover |
実験の一部がまだ未実施であるため、次年度使用額の使途は主に人件費・謝金である。また、新たに関連領域の文献調査の必要性が生じたため、物品費としても一部を使用する計画である。
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