2017 Fiscal Year Research-status Report
美術教育における学力分析~ルーブリックを用いた鑑賞学習の効果測定~
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17K04810
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
奥村 高明 聖徳大学, 児童学部, 教授 (80413904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池内 慈朗 埼玉大学, 教育学部, 教授 (10324138)
一條 彰子 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 主任研究員 (40321559)
東良 雅人 国立教育政策研究所, 基礎研究部教育課程研究センター, 教育課程調査官 (70619840)
宮本 友弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (90280552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 美術鑑賞 / ルーブリック / 統計分析 / 学力 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査協力校である埼玉県内のA中学校と協働で4項目、4段階のルーブリックを開発した。項目は「形や色など、作品の特徴をとらえること(知識)」「作品について話し合うこと(技能)」「自分の考えを組み立てること(思考・判断)」「学びに向かう力を高めること(意欲)」である。調査協力校ではカリキュラムを工夫し、全クラスで15分間の対話をベースにした美術作品の鑑賞活動を行っている。 調査は2016年度~2017年度にかけて,半期ごと計4回実施した。このうち,2016年度1年生と2年生は,4期分のデータが揃っていることから,この2つのコホート(前者をコホート(1),後者をコホート(2)とする)を分析対象とした。 評定の時系列変化をみるために,コホート別に,各調査時期における各ルーブリックの評定値の平均値を求めた。調査時期を要因にして分散分析と多重比較を行った結果,コホート(1)では,「自分の考え」で1年前期・後期>2年後期,「学びに向かう力」で1年前期・後期>2年前期・後期であった。コホート(2)では,「作品の特徴」「話し合う」で2年前期・後期<3年後期,「自分の考え」で2年前期<3年後期であった。 「学びに向かう力」の評価に他の3つのルーブリックが寄与しているかをみるために,重回帰分析を行った。全体的な傾向としては,「作品の特徴」の寄与は相対的にそれほど大きくない。「話し合う」と「自分の考え」の寄与は,ほぼ同等か,後者が著しく強くなる場合がみられた。 調査結果からは「自分の考えを持つ」ことが学習の重要なファクターである可能性が浮かび上がった。ただルーブリック項目に妥当性は見られるものの、一次元性が強くルーブリックだけでは詳細な分析を行うことが難しい。現在、一定の客観的なデータが報告されている調査とルーブリック項目との関係を調べ、学習内容や個人の傾向等を探っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進んでいる。研究によって判明した課題、たとえば、ルーブリック項目に一次元性が強くルーブリックだけでは詳細な分析を行うことが難しいため、一定の客観的なデータが報告されている調査とルーブリック項目との関係を調べ、学習内容や個人の傾向を探る手法の検討、および、ルーブリックと現在文部科学省で検討されている評価規準との整合性を検討するなどを行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ルーブリック項目に妥当性は見られるものの、一次元性が強くルーブリックだけでは詳細な分析を行うことが難しい。現在、一定の客観的なデータが報告されている調査とルーブリック項目との関係を調べ、学習内容や個人の傾向等を探っている。
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Causes of Carryover |
物品を安価で入手できたこと及び出張の回数が予定より減ったために次年度使用額が生じたが、次年度の出張費用として充てる予定である。
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Research Products
(7 results)