2019 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚刺激に基づく感覚間相互作用を活かした美術鑑賞教育法の実践的研究
Project/Area Number |
17K04818
|
Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
池永 真義 大谷大学, 教育学部, 准教授 (50755965)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 美術鑑賞 / 嗅覚 / 鑑賞教育 / 感覚間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(令和元年度)の研究では、すでに行ったハウゼンによる鑑賞能力の発達段階を指針にした鑑賞能力のアセスメントの見直しを行った。アセスメントの内容は、第 1 段階「説明の段階」(Accountive Stage)、第 2 段階「構成の段階」(Constructive Stage)、第 3 段階「分類の段階」(Classifying Stage)、第 4 段階「解釈の段階」(Interpretive Stage)、第 5 段階「再創造の段階」(Re-creative Stage)に鑑賞能力を区分した上で学生を対象に選定作品を鑑賞させ、鑑賞能力をはかるものである。これによって、各作品を鑑賞する際、どのような視点から作品をとらえる傾向があるのか、またそれは作品の造形的特徴によるものなのか等について、一定の理解を得ることが出来ると考えられる。見直しの具体的な内容としては、こちらから選定した作品を学生に鑑賞させるだけでは不十分と考えたため、学生自身に選定させた作品をもとにアセスメントを再実施した点があげられる。その結果、学習動機の観点から、より学生の主体的な意識に基づく鑑賞活動が見られ、例えば最初のアセスメントでは第2段階に相当する学生が第3段階の鑑賞能力を保持するといった変化が見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度(令和元年度)は、研究代表者の体調不良やその他の諸事情が重なり、研究のための時間が十分にとれなかったことがあげられる。 そのため、当初予定していた基礎・応用研究のうち、次年度に行った基礎研究「近現代の代表的な絵画作品の選定(欧米と日本の近現代絵画)」に基づく鑑賞能力のアセスメントの見直しと、基本文献の収集と整理しか行うことが出来なかった。また、予定していた感覚間相互作用を専門とする研究者への取材・調査も実施できず、思うように計画していた予算を執行することが出来なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度(令和2年度)においては、これまでの基礎研究をふまえつつ、実際に児童および学生を対象とする実験授業、考察を行い、児童を対象とする嗅覚刺激に基づく感覚間相互作用をいかした美術鑑賞教育法の開発をめざす。 具体的には、(1)嗅覚刺激が絵画鑑賞における記憶に与える影響の把握、(2)学生および児童を対象とする授業実践および考察(鑑賞教育法の構想と実践)を行う。 そしてその際、研究代表者による授業だけでなく、授業の一環としてアクティブ・ラーニングによる方法を通して、学生にも嗅覚を活用した鑑賞の授業を構想させ、学生の行う教材化の様子や感想等から、研究代表者が提案する教育方法の有効性や問題点、あるいはこの教育方法が様々な学校現場での活用可能性や問題点を抽出・検討する。
|
Causes of Carryover |
本年度(令和元年度)は、研究代表者の体調不良やその他の諸事情が重なり、研究のための時間が十分にとれなかった。それにともない、研究期間を次年度まで延長し、研究を継続することとした。 次年度は最終年度であり、消耗品、国内旅費、人件費・謝金等において適切な使用をはかりながら研究を進めたいと考える。具体的には、鑑賞教材のために必要な費用、教材や作品等の資料を整理する文房具、作品選定のために必要な美術館・博物館等の出張旅費、実験や授業実践、データ処理等のサポーターへ支払う人件費・謝金等に使用する。
|