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2018 Fiscal Year Research-status Report

学習者の関数理解の様相分析に基づく事象を数理的に捉える力の育成に関わる研究

Research Project

Project/Area Number 17K04823
Research InstitutionBukkyo University

Principal Investigator

二澤 善紀  佛教大学, 教育学部, 講師 (60633815)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords途上概念 / 関数 / 学習モデル / 論理構造
Outline of Annual Research Achievements

主に数学概念の理解研究に関する先行研究に基づいて前年度に構築した「関数の指導モデル」(現在は「関数の学習モデル」と呼んでいる)に関して,実際に教育実践を行うために児童生徒の認知に関する先行研究を分析し,関数の学習モデルに基づいた学習教材の開発を行った。
発生的認識論を基礎に,認知意味論,また3変量の関係概念についての先行研究を分析した。その結果,関数の学習モデルで示した(ⅰ)事象の変化を量化して捉える,つまり事象から変量を抽出する,(ⅱ)抽出した2つの変量を対応させる,に関する途上概念を形成するためには,「数値を用いない学習」段階を設定し,「数値を用いない学習」から「数値を用いる学習」へと移行する学習が有効である可能性を得ることができた。
次に,「数値を用いない学習」段階で用いる教材の開発に取り組み,児童生徒の認識段階を意識した横地らの先行研究を視座に,児童にとって身近に感じることができる影の変化を題材にして教材化をすすめた。この教材の特徴は,時間の経過を主軸にして事象の変化を量化して捉え,例えば時間と影の長さの2変量を関係づけ,変化の様子を考察する点にある。2変を関係づけて変化の様子を考察することにより,2変量の関係を「増えると増える」「増えると減る」あるいはこれらを組み合わせた論理構造をもった(ⅰ)と(ⅱ)に関する途上概念を形成することを目指すものである。
量の学習進度を考慮して,これらの学習が最適な時期を小学校第3学年の後半または第4学年の前半と設定した。また第3学年の児童が,日々の生活の場面で時間の経過を認識できているかどうかについて調査問題を作成・実施し,時間の経過を認識できていることが分かり,児童の認識に適した教材であることが示された。教材を児童生徒の学習にいかすために,研究協力者(小学校,中学校,高等学校,大学の教員)と協議しながら進めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の予定は,理論面の研究を前年度から引き続き行い,中学校1,2年生あるいは小学生を対象に調査を実施し,教育実践を視野に入れて教材開発をすすめる予定であった。このうち,理論面における研究は「関数の学習モデル」に基づき,(ⅰ)事象の変化を量化して捉える,つまり事象から変量を抽出する,(ⅱ)抽出した2つの変量を対応させる,に関する途上概念を形成するための学習の枠組みを設定することができている。また,認知に関する先行研究や認識調査により,この学習が最適と考えられる時期は小学校の段階であること,学習内容についての妥当性について確認することができた。そのため,中学生を主な対象として研究を進める予定であったが,本年度の研究予定を修正して前年度に引き続いて小学校段階での関数学習のあり方を中心に研究を進めた。
一方,中学校1,2年生あるいは小学生を対象に調査について,教育環境の異なる2つの中学校第1学年の生徒を対象に関数の定義理解に関する調査を実施し,分析中である。ただし,調査対象となった中学生は当初の予定から変更になり,縦断的な調査を実施することができていない。

Strategy for Future Research Activity

研究の理論面において,これまでに構築した「関数の学習モデル」に基づき,(ⅰ)事象の変化を量化して捉える,つまり事象から変量を抽出する,(ⅱ)抽出した2つの変量を対応させる,に関する途上概念を形成するための学習の枠組みを設定することができている。また,この学習が最適と考えられる時期や内容の妥当性について,認知に関する先行研究や認識調査により確認することができた。したがって,今後は作成した教材の有効性について,教育実践を通して検証することである。そのために,教育実践の前後に実施する事前事後の調査問題を作成する予定である。以上の内容は当初の計画通り,小学校,中学校,高等学校,大学等の研究協力者と協議しながらすすめていく。また,本年度に実施した調査について,十分に分析できていない部分を詳細に分析する。なお,教育実践の対象について,予定では中学生を対象に実施する予定であったが,本研究の目的を達成するためには小学生を対象に実施することが適切であることが示されたため,この点を修正して実施する。また,これまでの本研究の総括を行う予定である。
次年度の取り組みで得られた成果について,国内外の学会で研究発表を行い,他の研究者及び小中高等学校の教員との議論を通して,児童生徒や学校の教育活動にフィードバックしていきたいと考えている。

Causes of Carryover

海外出張が年度末になり,手続きの関係で予算執行ができなかったため。

  • Research Products

    (6 results)

All 2019 2018

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 関数指導における教材開発のための基礎的研究-関数指導の体系に着目して2018

    • Author(s)
      二澤善紀
    • Journal Title

      数学教育学会誌

      Volume: Vol.59 No.1・2 Pages: 1-10

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Applying van Hiele’s Levels to Basic Research on the Difficulty Factors behind Understanding Functions2018

    • Author(s)
      Yoshiki Nisawa
    • Journal Title

      International Electronic Journal of Mathematics Education

      Volume: Volume 13 (2018) Pages: 61-65

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Junior High School Students’ Understanding of Mathematical Functions2018

    • Author(s)
      Yoshiki Nisawa
    • Journal Title

      The 3rd Annual Meeting of the German Mathematical Association (DMV) and the Society for Didactics of Mathematics (GDM)

      Volume: Band III Pages: 1315-1318

  • [Presentation] 小学校段階における関数学習の基礎研究2019

    • Author(s)
      二澤善紀
    • Organizer
      2019年度 数学教育学会春季年会
  • [Presentation] Basic Research on the Formation of Students’ Concept of Functions2019

    • Author(s)
      Yoshiki Nisawa
    • Organizer
      The 53rd Annual Meeting of the Society for Didactics of Mathematics (GDM)
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 関数指導における教材開発のための基礎研究 -小学校段階の指導についての一考察-2018

    • Author(s)
      二澤善紀
    • Organizer
      2018年度 数学教育学会秋季例会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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