2017 Fiscal Year Research-status Report
民俗芸能に内在するコミュニケーションの特質を援用した音楽授業実践モデルの構築
Project/Area Number |
17K04824
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
石塚 真子 大阪体育大学, 教育学部, 教授 (70348431)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 音楽教育 / 民俗芸能 / コミュニケーション / 太鼓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本各地に伝わる民俗芸能を成り立たせているコミュニケーションのあり方に着目し、その特質を音楽教育の実践に援用して授業モデルを構築し、音楽教育の新たな方向性を提示することを目的としている。民俗芸能に内在する特質、とりわけ人びとを引きつけるコミュニケーションのいわば輻輳作用に着目し、その特質を音楽教育実践に援用して両者をリンクさせたいと考えている。 今年度は、太鼓を中心とした囃子であり、太鼓の代表的な打法を網羅的に学習することができる「水口曳山囃子」「神着木遣太鼓」「エイサー」「秩父屋台囃子」のフィールドワークを開始した。現地調査は、音・音楽に関連するコミュニケーションのあり方を明らかにするために、音と音を合わせるきっかけ、音と動きを合わせるきっかけなどの「合わせ方」に焦点を当てて行った。さらに、各芸能における「合わせ方」についての具体的な事例を収集し、「音と人(屋台、山車など)」、「音と音」、「人と人」の3つの視点から分類した。この調査は、できるだけ多くの世代の人に、丹念な聞き取り調査を行っていく予定であるが、今年度は初年度ということもあり、継続的にインタビュー調査を行うことが可能となる調査対象者の選定を行った。 以上の現地調査と並行して、すでに入手済みの資料のさらなる整理、および各芸能の関連文献の蒐集・補充・講読に努めた。これらの資料の分析により、現地調査の手法・視点の適正化を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、民俗芸能を成り立たせているコミュニケーションのあり方を明らかにするために、現地における調査を中心に行うものである。初年度にあたる今年度は、対象とする芸能において、できるだけ多くの世代の人に丹念な聞き取り調査を行うことと同時に、継続的にインタビュー調査を行うことが可能である調査対象者の選定を行った。「八丈島の太鼓」については、当初予定していた調査対象者と調査日程が合わず、現地調査を行うことができなかったが、次年度、継続的にインタビュー調査を行うことが可能である対象者の選定と、集中的に現地調査を行う了承を得られたこともあり、おおむね計画通りに進んでいるといえる。 また、文献研究については、理論的な枠組みの基礎となる民俗芸能に内在する関係性を論じた文献の蒐集、対象とする芸能の関連文献の蒐集・補充・講読については、着実に進んでいる。 総じて本研究課題はおおむね当初の計画通りに進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に続き、「水口曳山囃子」「神着木遣太鼓」「エイサー」「八丈島の太鼓」「秩父屋台囃子」のフィールドワークを行い、それらを成立させているコミュニケーションの特質に関する調査を行う。 並行して、今年度は、学校を中心とした音楽教育の現場へのフィールドワークを行い、民俗芸能を教育実践に活かしている教員や、民俗芸能の場に外部から入った若年世代などへの聴き取り調査を行う。 さらに、関連資料の収集を継続しつつ、学習材と学習方法の開発に向けての研究を進展させ、民俗芸能に内在する特質を活かした音楽教育の新たな授業モデルの構築を行う。
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Causes of Carryover |
「人件費・謝金」の項目の支出額が「0」であったことが要因である。 インタビュー調査や映像資料を整理する作業において、専門的な内容についての整理が難解なこともあり、この作業を研究代表者が行ったため、「人件費・謝金」の項目の支出額が「0」となった。
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Research Products
(2 results)