2017 Fiscal Year Research-status Report
ESDの視点を踏まえた「地球」領域の見方・考え方の育成に関する実践的研究
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17K04826
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
岡本 弥彦 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10367245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真久 東京都市大学, 環境学部, 教授 (00360800)
五島 政一 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (40311138)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地球システム / 学習指導要領 / ESD / 見方・考え方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,小・中・高等学校の学習指導要領(理科)に示されている「地球」概念を取り上げ,その構成概念の枠組みをESD(持続可能な開発のための教育)の視点から構築するとともに,「地球」領域における見方・考え方の育成の方策を明らかにすることを目的としている。平成29年度は,「地球」概念の再構築と小・中・高等学校を通した学習内容の構造化に取り組んだ。 「地球」概念の再構築ついては,「地球」概念を構成する4つの視点「構成」「関連」「時間」「空間」を再検討した。地球システムに関する文献・資料を20編取り上げ,地球科学的な視点及び地学教育的な視点から整理・分析した。また,新しい学習指導要領における理科改訂に当たっての基本的な考え方である「科学的に探究する学習」及び「日常生活や社会との関連」に注目し,ESDの視点を取り上げ,持続可能な社会づくりの構成概念(多様性,相互性,有限性,公平性,連携性,責任性)と地球システムとの関係について検討した。以上の結果に基づいて,日常生活や社会と関連させながら地球システムを探究的に学習する上での枠組み(「地球」概念の枠組み)を構築することができた。 学習内容の構造化については,「地球」概念の枠組みに基づいて,学習指導要領(現行)で示された理科の学習内容や,小・中・高等学校の理科の教科書の内容を分析した。そして,例として「火山」についての学習(小学校:第6学年「火山の噴火や地震による土地の変化」,中学校:第1学年「火山活動と火成岩」,高等学校:地学「地球の活動」など)を取り上げ,枠組みを明確にした学習目標の設定や各単元に適した教材・題材の選定を行い,指導計画(案)を作成することができた。平成30年度は,これらの単元についての実践研究に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,補助事業期間の初年度であった。「地球」概念の再構築については,研究代表者・分担者の協力の下,当初の計画どおりに進めることができた。小・中・高等学校を通した学習内容の構造化についても,現行の学習指導要領に関しては,計画どおりに進めることができた。 なお,研究計画には入れていなかったが,新しい学習指導要領における学習内容の分析に関しては,学習指導要領解説の公表が遅れたため,平成29年度内には着手することができなかった。平成30年度における,現行の学習指導要領での実践研究と平行して,新しい学習指導要領についても研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究で選択した単元についての授業実践に取り組む。教材研究,指導計画の立案,学習指導案の作成,授業の実施及び学習評価等を通して,児童生徒に「地球」概念がどのように育成されるのかを検証し,「地球」概念の枠組みの有効性や問題点等を明らかにする。 授業実践は,小・中・高等学校の研究協力者が担当する。各研究協力者は,担当する単元について「地球」概念の枠組みに基づいて指導計画及び学習指導案を作成し,授業を実践する。研究代表者・分担者を交えて授業分析を行い,各実践の成果と課題を明らかにする。そして,それらに基づいて,「地球」概念の枠組みや学習内容の構造化について見直し,平成31年度の研究計画・方法等を確認する。
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Causes of Carryover |
物品費の一部を,新しい学習指導要領解説やそれに関連する図書等の購入費に計上していたが,刊行が遅れたため,平成30年度に購入することとした。 研究担当者・分担者の会議に必要な旅費を計上していたが,他の業務(他の機関から旅費を支出)に引き続いて開催した会議が1回あったため,予定より少額で済んだ。平成30年度は,学会参加の旅費として計上する予定である。 文献・資料等の整理として学生謝金を計上していたが,件数が少なかったため研究代表者自身が行った。平成30年度は,実践研究のデータ集計・整理の補助として謝金を計上する予定である。
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