2017 Fiscal Year Research-status Report
小学生の健康改善と体力向上を目指した総合的学習での教育プログラム開発
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17K04834
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
神林 勲 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70214731)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 起床時体温 / 食事 / 起床時刻 / 睡眠時間 / 自律神経系活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,研究実施に向けての準備と予備調査を行った.具体的には,研究協力者(栄養教諭)と打ち合わせを重ね,小学校へ研究協力の依頼を行い承諾を得た.また,調査対象者とした5年生の保護者に対して,文書による研究概要の説明を行い,児童の研究参加を認める同意を文書にて得た.なお,本研究の実施に当たっては,北海道教育大学の研究倫理委員会の承諾を得ている. 予備調査として小学5年生2クラスを対象に,1週間毎日の起床時体温(起床後から朝食前までに10分間の実測)の測定,生活習慣調査(食事,睡眠,入浴,排便,運動時間およびスクリーン時間)および1週間に2度の自律神経系活動(TAS 9 View)の測定を行った.自律神経系活動の測定は,学校に登校後から1時限目の始業前の時間帯(概ね8時15分から8時45分の間)に行った.対象となった児童は,68名(男子32名,女子36名)であった.身長と体重の平均値(標準偏差)はそれぞれ147.4(7.5)cmと37.6(6.0) kgあった[男子のみでは145.1(7.2) cmと36.6(6.9) kg,女子のみでは149.4(7.2)cmと38.4(5.2)kg).68名の内,データ等に欠損がある4名を除いた64名を分析に供した. 児童個人々において1週間の起床時体温の平均値を算出したところ,35.17~36.59℃に分布しており,全員の平均値は36.04(0.31)℃であった.そこで,児童を1週間の平均値によって低体温群(36℃未満)と標準群(36℃以上)の2群に大別したところ,低体温群23名(36 %),標準群41名(64 %)となった.両群の生活習慣について比較したところ,低体温群は1回の食事当たりの「主食・主菜・副菜・その他」の数が低い,起床時刻が早い,睡眠時間が短かった.自律神経系活動については,低体温群と標準群で違いはなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定を依頼している小学校の教育課程や学校行事の関係で,予備調査の時期が年度末の3月になってしまったが,当初の計画どおりに研究は進んでいる.予備調査で得られたデータについては研究目的にそった分析はほぼ終了しており,平成30年度の全国学会で発表予定である.また,児童の1週間の生活習慣調査により,平日と休日(土・日)の睡眠状況の差が明らかとなり,社会的時差ボケ(social jetlag,SJL)の影響が身体に与える影響を検討できるデータも取得できた.このため,SJLの影響についてもより分析を進め,結果を公表できるようにしたい.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究計画は,平成29年度の予備調査を基に児童の健康増進・体力向上に資する学習プログラムの作成および測定対象者を増やして起床時体温の状況と各種生理学的データや体力・運動能力データとの関連をより詳細に検討して行く.しかしながら,研究協力者や対象校の状況を踏まえ,平成31年度に予定していた学習プログラムの展開とその前後での児童の変容についての検討を平成30年度に実施する可能性も含め,現在,研究協力者や対象校と検討・調整中である.
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Causes of Carryover |
起床時体温を測定するための実測式デジタル体温計の単価が予定していた額よりも安価に購入できたことが次年度使用額の生じた主な理由である.また,予定していた学会参加が公務等の都合によりかなわなかったことも影響している.今年度の配分額は主に物品購入に充てる予定であることから,次年度使用額は学会参加や資料収集のための旅費として利用する計画である.
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