2018 Fiscal Year Research-status Report
小学生の健康改善と体力向上を目指した総合的学習での教育プログラム開発
Project/Area Number |
17K04834
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
神林 勲 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70214731)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 総合的学習 / 学習プログラム / 体力 / 運動能力 / 冬季休業 / 生活習慣 / 持久力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は, 体力・運動能力が総合的学習での「運動・休養・栄養についての学習プログラム」(以下,学習プログラム)の実施,未実施によってどのような影響をうけるか検討を試みた.6年生2クラスを対象に11月下旬に文部科学省準拠の体力・運動能力テストを実施し(プレテスト),その後,12月に6年生の1クラスを対象に総合学習で学習プログラムを5回実施した(介入群).なお,もう一方のクラスは未実施であり,そのクラスを対照群とした.約4週間の冬季休業後の1月下旬,体力・運動能力をプレテストと同様に測定した(ポストテスト).プレテストとポストテストにおいては,8種目の測定種目の内,屋外種目である50m走とボール投げを除いた6種目を実施した.学習プログラムは,平成29年度の調査結果を踏まえ,運動・休養・栄養に関する内容を実施した.具体的には骨の成長に関すること(こつこつチャレンジ)と体力が高いことのメリット,体力が高まる要因,体力を向上させる方法等(からだ元気プロジェクト)を栄養教諭が指導した.指導内容は,栄養教諭がこれまでの知見の紹介,課題に対してのブレインストーミング,課題の自覚から深い学びにつながるものを用意した.また,介入群では冬季休業中の生活記録を自作の記録用紙に記載させた.プレテストとポストテストの結果をT得点に変換して介入群と対照群で比較したところ,握力・長座体前屈は両群とも向上,反復横跳びと立ち幅跳びは両群とも変化なし,上体起こしは介入群で向上,20mシャトルランは対照群で低下という結果が得られた.以上の結果から本研究で行った学習プログラム内容は,運動量の低下が予想される冬季休業中の生活習慣や児童の意識に影響を与え,体力・運動能力,特に全身性・局所性の持久力を維持させる効果が期待できると考えられる.なお,対象者を性別毎にみた場合,男子よりも女子において高い効果が認められた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりにほぼ進捗している.しかしながら,研究協力校と研究協力者の諸事情により,平成31年度(令和元年)に予定していた総合学習での学習プログラム実施前後での体力・運動能力測定を前倒しで平成30年度に実施した.平成30年度に予定していた400名前後の児童を対象とした起床時体温,生活習慣調査および自律神経系活動測定は平成31年度(令和元年)に実施する予定である.また,平成30年度北海道体育学会第58回大会において「子どもにおける平日と休日の睡眠状況の変化が自律神経系活動に与える影響」と題して,研究協力者とともに口頭発表を行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に総合学習で実施した学習プログラムは5回であり,体力・運動能力へ少なからず好影響が認められたが,プログラムの回数や内容が十分ではなかった.そのため,これまでの研究成果を踏まえ,平成31年度(令和元年)においても,総合学習の時間を利用して運動・休養・栄養に関する学習プログラムを実施し,その前後での体力・運動能力の変化を検討する予定である.また,平成30年度に予定していた400名前後の児童を対象とした起床時体温,生活習慣調査および自律神経系活動の測定も実施を予定している.また,生活習慣や体力・運動能力について検討する中で,姿勢の良悪の影響が懸念されるようになった.先行研究においても体力・運動能力と姿勢についての知見が散見されており,また,姿勢の良悪は自律神経系活動とも関連すると言われていることから,平成31年度(令和元年)には児童の姿勢についても測定し,学習プログラムへの内容追加もにらみながら検討していきたい. 今後の研究推進の方策はほぼ予定どおり進むと思われるが,研究協力者や対象校の状況から,平成31年度(令和元年)の学習プログラムの展開は総合学習の時間のみならず,学級活動の一環として実施する可能性もある.また,対象児童を増加させた起床時体温,生活習慣調査および自律神経系活動の測定は研究協力校を増やし対応することを検討・調整中である.
|
Causes of Carryover |
平成30年度の支出項目をみると,物品費と人件費・謝金はほぼ予定通り支出されたが,旅費が半額程度に留まった.これは予定されていた学会出張の直前に起きた北海道胆振東部地震の影響で学会出張をとりやめたことが大きく影響している.次年度使用額(180千円)は姿勢測定のために必要な物品購入や平成31年度(令和元年)に決定している外国出張の旅費等に利用することを計画している.
|