2018 Fiscal Year Research-status Report
4QSに基づいたタブレット理科実験による学習者のグラフ読解力の変容調査
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17K04844
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
青木 悠樹 群馬大学, 教育学部, 講師 (60514271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 淳一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90583922)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 拡張現実 / 仮想現実 / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
中学校理科におけるICT活用として4種類の教材開発を行い,それぞれの教材による学習効果の測定を授業実践から検証した。具体的には以下の教材開発を行った。 中学1年の教材として,音の伝搬を理解するための教材を開発した。音の伝搬を可視化させることでオシロスコープのグラフ理解向上を狙った教材である。中学2年の教材として,電磁誘導を理解するための教材を開発した。磁力線を可視化させることで,電磁誘導の原理を学習者が科学的な言葉を用いて説明することができるようになることを狙った教材である。中学3年の教材として,天体運動理解する教材と力学教材の開発を行った。天体運動教材は学習者の視点移動の育成を狙った教材であり,力学教材は,従来より短時間で実験を行うことができる教材である。 それぞれの教材を用いた授業実践として教員を目指す学生を対象とした授業実践を9時間,附属校での授業実践を12時間,また海外の日本人学校における授業実践を2時間実施した。得られた研究結果の論文発表として,査読付き国際雑誌に2件,査読付き国内誌に6件,国際会議プロシーディングに7件の発表を行った。また学会発表として国際会議に7件,国内会議に3件の発表を行った。 当初目標としては,4QS型の学習プログラムから学習者のグラフ読解力の検証を目指していたが,ICTを用いることで,グラフ以外のARを用いた表記を行うことが可能となり,AR/VR表現の方が学習者への理解が進むことが分かったため,科学現象を直感的に理解できるAR/VR表現を行うソフト開発を行い,これらのソフトによる学習効果の検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,タブレットを用いた4QS型の学習プログラムからグラフ読解力を向上させることで学習者の理解度を向上させる教材開発,授業実践による検証を目指していた。しかし教材開発を進めることで,グラフを用いずICTを活用したAR/VR表現を行うことで学習者の直感的な理解度を上げることができることが分かってきた。そのため,2018年度は中学校理科の各学年でAR/VR教材開発を行い,その学習効果の検証を行った。 例えば中学1年生の教材として,音の伝搬をARで可視化する教材開発と授業実践を行った。学習者がオシロスコープ波形を学習する際,波形グラフの横軸が時間であることが理解を困難にさせている。そのため,ARを用いて音の伝搬と受信過程の動的変化を可視化させることで波形を理解する教材を作成した。教材を用いた授業実践から,現象をARにより可視化させることで,困難であったオシロスコープ波形を直感的に捉えることができるようになった。同様に,中学2年生の教材として,磁力線を可視化させるAR教材開発,中学3年生の教材として,天体を理解するVR教材開発を行い,それぞれの教育効果の検証を行った。 また,従来のマーカーを用いたARではなく,マーカーレスAR教材開発を行った。中学3年生の力学実験において,ARを用いることで実体のポテンシャル中を運動する質点の動きを表現するソフト開発を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
AR/VRを用いることで見えない現象を可視化させる教材が,学習者の科学現象の理解度を向上させる上で有効であることが分かってきたため,AR/VRの新しい表現法の開発を行い,開発した教材を通して学習者の理科に対する理解度向上を目指したい。特にARに関しては,ToF法による深度カメラが搭載されたスマートフォンの普及が始まっており,マーカーレスARによる表現が可能となってきている。そのため,より現実の空間に即した仮想現実表現が可能となり,教育への応用が期待されている。マーカーレスARを積極的に用いた教材開発を行うことで学習者のグラフの理解を向上させる手法の開発に取り組みたい。 具体的には,マーカーレスARを活用した力学教材の開発を実施する。既に,試験的なソフトに関しては開発を行い,力学実験を行う上で必要な実験精度を有していることの検証を行っている。本年度は,実際に授業の中で活用することで学習者の理解度がどのように変化するのかを検証しPDCAサイクルから,学校現場に取り入れが可能な教材と学習プログラムを開発する予定である。
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