2017 Fiscal Year Research-status Report
中学校家庭科住生活領域における情報通信技術(ICT)を含んだ教材開発とその評価
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17K04859
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
田中 宏子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (00324559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 ヒカル 相模女子大学, 栄養科学部, 教授 (00423517)
亀崎 美苗 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00531336)
正岡 さち 島根大学, 教育学部, 教授 (30194161)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教材開発 / 家庭科 / 住生活 / 中学校 / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中学校家庭科住生活学習をより発展拡充させるための一試みとして、ICTを含んだ新たな教材の開発を目指す。具体的には、中学校家庭科教員を対象とした質問紙調査の結果を踏まえ、アクティブ・ラーニングをより一層充実させた授業で用いる教師用補助教材を作成する。また、今後の学習指導要領における住生活学習の参考指針やカリキュラムの作成に寄与することを狙いとする。 本年度は、中学校家庭科の主に住生活学習におけるICT 活用の現状に関する調査を行った。調査方法は、日経BP社「公立学校情報化ランキング2016」におけるインフラ整備、教員指導力等を数値化したランキング上位自治体に属する703校と下位自治体に属する707校の公立中学校家庭科担当教員に質問紙調査を行った。質問紙の配布・回収は2017年秋に郵送により行った。配布部数は1410部、うち有効回収部数は150部であった。その内容は、家庭科における住生活の授業内容、授業でのICT機器の使用状況、勤務校のICT機器整備状況など100項目以上からなる。家庭科住生活学習における教員のICT機器使用率は30%であるが、ICT整備上位校勤務教員は、下位校教員に比べより多くICT機器を用いた授業を行っており、機器を使用している教員の教育効果に対する評価は概ね高い結果であった。自由記入による教師が求めるICT教材としては、住生活学習の各内容を関連付けた多岐にわたる要望が寄せられたことから、使用頻度の高いパソコンや電子黒板を活用した使いやすいICT教材の開発により、住生活学習の内容を充実させうる可能性が示唆された。 また、平成29年3月に学習指導要領が、同年7月に中学校学習指導要領解説 技術・家庭 家庭編が出されたためそれに関する資料、家庭科住生活関連の文献・実践報告例・教材などの収集は同時並行で行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、4大学の住居学及び家庭科教育学担当者がチームとなって研究に取り組んできている。まず、4名の研究者がそれぞれに収集した新学習指導要領に関する資料、家庭科住生活に関する文献・資料、実践報告例及び教材、そして各研究者が独自に作成・開発した教材等を実際に見ながら、各大学持ち回り研究会を実施した。 当初計画では、収集した資料等をもとに、中学校家庭科住生活領域におけるICTを含んだ教材開発を行う予定でいたが、研究会を何度か行う中で、中学校家庭科住生活領域におけるICTを含んだ教材開発には、申請時の研究計画を若干変更せざるを得なくなったとしても、ICTの進歩、現場の状況に合わせて、指導用補助教材の開発を行う必要があることに意見が一致したため、中学校家庭科教員を対象とした住生活学習におけるICT活用の現状に関するアンケート調査を行った。その結果は、日本家政学会(2018年5月)にて、中学校家庭科におけるICT活用の現状と課題、日本建築学会(2018年9月)にて中学校家庭科住生活学習におけるICT活用の現状 その1:設備整備状況と使用頻度、その2:現状のICT教育と望まれる指導教材、を発表する予定である。調査により得られた知見を踏まえ、ICTの進歩に合わせて、家庭科授業の住生活領域で使う指導用補助教材の開発を行っているところである。 従って、現在までの達成度は、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
新学習指導要領に関する資料、住生活学習に関する文献や授業実践例・教材などより得た知見、我々が実施した中学校家庭科教員を対象として行った住生活学習におけるICT活用の現状に関する全国規模でのアンケート調査の結果などを踏まえて、中学校家庭科住生活領域の指導計画、学習指導案、ワークシート、写真や映像などの提示資料、住空間の構想を考え工夫するツールとして適切な間取り図、3D シミュレーション、VR、ICTを活用した教材、評価表、観察・ヒアリング項目票、質問紙調査票などを、学習指導要領の各指導事項の目標に応じて作成していくことにしている。 今後は、教育学部の学生を対象とした調査を行い、各研究者の所属大学の附属中学校及び公立中学校での授業を通して、観察・ヒアリング・質問紙調査によりデータを収集、分析し、改良を加えて新しい教材を開発していく。最終的には学習指導要領で示される子供たちが身につけるべき資質・能力が身に付いているかを確認し、教師用指導書と授業キットを含む教材を完成させ、その普及促進を図る。一方、VR を用いた場合とPC による3D シミュレーションを用いた場合、模型を用いた場合の空間評価及び教育効果の比較検討を行い、これからの住居教材の開発内容の方向性を検討する。 中学校家庭科教員を対象として行った住生活学習におけるICT活用の現状に関するアンケート調査より得られたデータを、より詳細に分析を行い、考察を深め、日本家政学会の学会誌に投稿する予定ある。
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Causes of Carryover |
当初計画では、収集した資料等をもとに、中学校家庭科住生活領域におけるICTを含んだ教材開発を行う予定でいたが、研究会を何度か行う中で、中学校家庭科住生活領域におけるICTを含んだ教材開発には、申請時の研究計画を若干変更せざるを得なくなったとしても、ICTの進歩、現場の状況に合わせて、家庭科授業の住生活領域で使う指導用補助教材の開発を行う必要があることに意見が一致したため、中学校家庭科教員を対象としたICT活用の現状に関するアンケート調査を行った。そのため、教材開発にかかる費用が次年度に持ち越されたのが、次年度使用額が生じた理由である。 次年度の研究費の使用計画は、中学校教員を対象とした質問紙調査の研究成果発表費430千円(内訳は、東京1泊2日4人分の旅費80千円、仙台2泊3日4人分の旅費300千円、論文投稿費50千円)、教師用補助教材作成費797千円(内訳は、教材作成費…住宅デザインソフト、3Dパーツ作成費、360度カメラ、模型作成費400千円、比較実験費100千円、授業実施・評価のための調査費30千円、データ入力費137千円、資料整理等の謝金130千円)、研究会旅費130千円、コンピュータ関連消耗品100千円、総額1457千円である。
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Research Products
(5 results)