2018 Fiscal Year Research-status Report
日本とオランダの英語科教育実習における授業カンファレンスの比較研究
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17K04865
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
猫田 和明 山口大学, 教育学部, 准教授 (90379917)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語教育 / 教師教育 / オランダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本とオランダの教育実習現場におけるカンファレンス(授業後の振り返り活動)の特徴を比較することを通して、小学校または中・高等学校で英語を指導する教員の養成のために効果的なカンファレンスの在り方を探求することである。 この目的を達成するため、平成30年度は日本の英語科教育実習の現場で行われているカンファレンスのデータを質的に分析したものを論文化した。そこで見られた特徴は、(1)実習生の視点を教師の視点から生徒の視点へと拡張すること、(2)授業の具体的な場面を丁寧に取り上げてコメントすること、(3)指導の焦点を絞ることである。今回の授業カンファレンスの様子とインタビューから示唆されることとして、短い実習期間での学びを最大化するためには、教師として配慮すべき基本的な事項や実践知として広く知られていることなど、意識すればすぐ実行できるような部分については指導教員が直接的な改善の提案をする意味があるが、目標・指導・評価の一体化をどのように実現するかなど、より複雑な内容については実習生の思考を支援し、実習生自身の創意工夫を促す指導が望ましい。その際には、指導教員の価値判断を一旦保留し、実習生の話を聞きながら様々な問いを発して思考させるような産婆的な役割が求められる。この点に関してはコーチングの手法が広く取り入れられているオランダの教員養成の事例を観察することでさらに具体的な姿が明確になってくると思われる。次年度はオランダで収集した教育実習現場におけるカンファレンスのデータを分析し日本との比較の視点から示唆を導きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は日本でのカンファレンスのデータを分析し論文化できたという意味ではおおむね順調に研究を進めることができている。実習生が直面する問題について指導教員がどのように介入しているのか、実習生がどのように反応し省察しているかをより具体的に示すことができた。一方でオランダの事例についてはデータが集まった段階であり、分析はこれから着手するところであるため、平成31年度にどの程度まで深く分析を進めることができるかは不透明な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の課題は、オランダのデータ分析を早急に進めることである。そのうえで、明らかになった特徴を日本のそれと比較しながら示唆を求めたい。実習生が直面する問題はある程度共通しているので、それを軸としながらデータを整理することで比較の視点が見やすくなるかもしれない。また、観察された現象を取り巻く環境(教員養成システムや文化的な背景など)も踏まえながら記述することで、指導技術の表面的な転用に陥ることなく、土壌にあった実習指導の在り方を探求したい。
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Causes of Carryover |
テープ起こしのタイミングが次年度にずれ込んだためであり、次年度に使用することとした。
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