2017 Fiscal Year Research-status Report
数学的学習具の発達段階に応じた特性に関する実践的研究
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17K04876
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Research Institution | Wakkanai Hokusei Gakuen College |
Principal Investigator |
澁谷 久 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 教授 (90780461)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 数学的学習具 / イメージ / 特性 / 汎用性 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査活動として,日本教材学会研究発表大会(平成29年10月,千葉県松戸市)に参加し,教具・学習具についての調査・資料収集活動を行い,最近の研究成果にも触れることができた。その際,本研究にかかわるテーマ『数学教育における自己を導く道具としてのノート学習具に関する一考察』(日本教材学会第29回研究発表大会研究発表要旨集,pp.108-109)を発表し,以後の研究における示唆を得た。 また,本研究を進める上で,「学習具」における研究の整理を行うため,以下の研究論文を作成し,発表した。研究代表者は中学校の学習具についての研究が中心であったため,「発達段階に応じた」とする本研究の観点から,小学校の学習具「算数セット」に着目し,研究の質を高めることを目的としたものが後者である。『構造的なイメージを形成する数学的学習具の特性に関する考察』(稚内北星学園大学紀要第18号,pp.19-32,平成30年2月),『小学校「算数セット」の拡張性に関する考察―ex sion(ten,pan)の空欄を前者とする質の強調を通して―』(稚内北星学園大学紀要第19号,平成30年5月) さらに,実態把握予備調査を行った。内容は数学教育における実験,学習具に関するもので,対象は小学校,中学校数学科,高等学校数学科の教員である。データは少ないが,本調査に向けて,調査項目及びその内容を検討することができた。さらに,予備調査を受けて,数学的学習具の開発を行った。計画では平成30年度に位置付けたものであるが,今後トライアウト,改良を重ね,平成30年度の実験授業に使用するものとしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の基盤を強化したいと考え,当初の研究計画にはなかった研究発表(『数学教育における自己を導く道具としてのノート学習具に関する一考察』(日本教材学会第29回研究発表大会)),論文作成・発表(『構造的なイメージを形成する数学的学習具の特性に関する考察』(稚内北星学園大学紀要第18号)及び『小学校「算数セット」の拡張性に関する考察―ex sion(ten,pan)の空欄を前者とする質の強調を通して―』(稚内北星学園大学紀要第19号))を行い,それが有効であったこと,さらに平成30年度に計画していた数学的学習具の開発も若干進めることができたため,「計画以上」の要素もあるが,数学教育における現物実験の調査が予備調査の状況であり,それに付随する考察,整理等も不十分であるため,「やや遅れている」と判断できる部分もある。ただ,本研究の中枢的事項である数学的学習具の特性については,研究論文『構造的なイメージを形成する数学的学習具の特性に関する考察』において,数学的学習具の特性の数学におけるイメージへの作用を示すことができ,『小学校「算数セット」の拡張性に関する考察―ex sion(ten,pan)の空欄を前者とする質の強調を通して―』において,小学校算数科において最も使用されている学習具について考察した点は,本研究の今後の進捗には意義があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画における平成29年度の不十分な事項を早急に実施していく。それは,数学教育における現物実験に関する実態把握の本調査,児童・生徒の発達段階に応じた算数・数学教育における現物実験の意義,数学的学習具の特性の整理である。また,平成30年度に予定している実験授業の実施に向けて,小学校,中学校,高等学校それぞれにおける数学的学習具の開発,実施対象の予備調査,授業計画の策定を,研究協力者(授業者)とともに進めていく。実験授業は,小学校3(低学年,中学年,高学年),中学校3(各学年),高等学校1を予定しているが,数学的学習具が既に開発されている中学校の1実験授業から行い,その状況の踏まえ,他の実験授業の設定をしていく。平成30年度の前期において,本研究のエフォートを高めに設定し,平成30年度は上記における内容を積極的に進めていく。 研究計画において,実験授業の予定授業者であった中学校教諭の転勤に伴い,実験授業実施が困難である場合は,2次リストから採択する。
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Causes of Carryover |
主な理由は,研究成果の中間発表を,調査・資料収集の目的の学会で行う,さらに研究紀要発表と変更したため,旅費の使用が計画より少額になったことである。平成30年度は,予定授業者の異動等により,実験授業の打ち合わせや実施のための日数が計画より多くなる見込みであり,その部分に充てたいと考える。
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