2017 Fiscal Year Research-status Report
特別支援学校における聾重複児の在籍・支援の実態調査によるインクルーシブ教育の展望
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17K04915
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
木村 素子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60452918)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 聾重複障害児 / 聾学校 / 特別支援学校 / 知的障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、知的障害を併せもつ聴覚障害児(以下、聾重複児)が全国の特別支援学校等にどのように就学・在籍しどのような支援を受けているのか、その実態を把握し、さらに都道府県によって異なる就学・在籍パターンを類型化し、その類型の規定要因は何か、各類型の利点や課題は何かを明らかすることを目的とした研究である。 今年度は、聾重複児の就学・在籍のパターンが異なりそうな都道府県を複数県選定し、予備的調査を行った。これまで調査対象としてきた宮崎県の他、熊本県、福岡県、神奈川県、群馬県の聾学校において聾学校における聾重複児の在籍と支援の状況の聞き取りと観察ならびに当該県における聾重複児の就学状況の聞き取りを行った。第一に、高等聾学校の場合は幼稚部から学部を備える聾学校と異なる人事や校内支援体制があること、第二に、進路指導において聾重複の先輩のいる事業所の見学等を計画的に実施し生徒の潜在的ニーズを探る取り組みをしている学校があること、第三に、隣接する知的障害特別支援学校分校と聾重複生徒の作業学習における交流を行っている学校があること、第四に、軽度の知的障害のほかに車椅子利用をする程度の肢体不自由を併せもつ生徒の場合、知的障害だけを併せもつ聾重複児よりもさらに卒業後の進路探しが困難であるといった課題があること、等が明らかとなった。さらに、宮崎県では、知的障害特別支援学校において複数名の聾重複児が作業学習の同じ作業班に集まり、聾学校経験のある担当教員がきめ細かな指導・支援を行うことで、知的障害特別支援学校であっても聾重複児が作業学習にスムーズに参加できる事例を観察することができた。また、宮崎県、福岡県、群馬県において、聾重複者が利用する卒業後の事業所を視察した。次年度は、これらの予備調査を踏まえて、聾重複児の就学・在籍の類型を整理して、特定の都道府県を選定して全県調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な都道府県の聾学校や施設への予備的調査等を通して、今後の研究課題の検討に関する必要な情報が多く得られたことや、聾重複児者支援の関係者とのネットワーク構築に専心した結果、調査実施に有効なコネクション等を作ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に、聾重複児をテーマとするシンポジウムでの研究成果報告を行ったことや、複数の都道府県において聾重複児の調査を行ったこと等により、聾重複児に関心のある教育関係者、福祉関係者とのネットワークが飛躍的に拡大した。今後は、このような研究上のネットワークを生かし、調査を進めていく。
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Causes of Carryover |
定期的な通院が必要な状況であったため、当初予定していた遠方への調査が困難であった。次年度も頻回の通院の状況は変わらないため、当初計画よりも次年度分の調査対象を減らし、通院が落ち着くと思われる次年度終了後の年度に調査を延長して実施する予定である。
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Research Products
(4 results)