2019 Fiscal Year Research-status Report
特別支援学校における聾重複児の在籍・支援の実態調査によるインクルーシブ教育の展望
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17K04915
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
木村 素子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60452918)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 聾重複障害児 / 特別支援学校 / 知的障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、知的障害を併せもつ聴覚障害児(以下、聾重複児)が全国の特別支援学校等にどのように就学・在籍しどのような支援を受けているのか、その実態を把握し、さらに都道府県によって異なる就学・在籍パターンを類型化し、その類型の規定要因は何か、各類型の利点や課題は何かを明らかにすることを目的とする研究である。 今年度は、7月まで育休を取得しており、育休取得期間中は予算の執行が一切できないルールがあるため、半年間は調査や関連書籍の購入や資料収集等に大きな支障があった。5月には2016年度の宮崎県における調査研究論文が刊行された。また、知的障害特別支援学校において専門性の高い教員による支援が行われている学級を選定し、5月、9月、2月に宮崎県において調査を行い、授業ビデオデータの収集、担当教師へのインタビュー調査を実施した。この結果、たとえば、知的障害特別支援学校と聴覚障害特別支援学校双方の教員経験があり、手話に長けている教員の朝の会の支援では、対象生徒に、授業内で言語指導、生活指導、教科・領域にかかわる指導がなされており、特に、言語指導では、8つの機能をもつ複雑な指導がなされていたことがわかった。一方で、聾重複障害生徒の専門性のある教員が配置できない合同学習の授業場面では、生徒への視覚的支援は、要約した情報の伝達、誤った手話による伝達などの支援にとどまることがわかった。 また9月に行われた学会においては、聾重複障害児の指導にあたる教師の教員歴に関するポスター発表、自主シンポジウムでは共同研究で行われた他県特別支援学校及び聾学校における聾重複障害児の支援に関する調査の分析と報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度の前半は育休取得のため、調査やデータ分析の十分な時間が取れていない状況にはあるが、育休中に調査の実施、育休終了後はデータ分析、調査に関する学会発表を行うことができた。全体計画では、宮崎県以外の調査に着手する予定であったが、年度前半に育休中で新たなフィールド開拓ができなかったことにより、次年度に実施する予定である(年度末の3月に他県における調査依頼の打診予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大によって中断している)。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大によって、次年度の調査実施が極めて不透明である。したがって、次年度はまずこれまで入手したデータの分析を進め、論文を投稿する予定である。具体的には、次年度中に、聴覚障害教育と知的障害教育の経験のある教師による知的障害特別支援学校における聾重複障害のある生徒に対する適時的な指導の事例的研究についての論文を執筆し、投稿をする予定である。データ分析については、育児中の教職員の研究活動支援に関する学内制度を利用し、インタビューデータの文字起こしを委託して、研究を推進していくこととする。
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Causes of Carryover |
上述したように、育休中により半年間、予算執行が不可能であったこと、乳児育児のため調査や研究時間の確保が困難であったことによる。なお、育休中の予算執行については、労働法上の制約があるとは理解するが、予算執行ができないため、自費での調査、研究に必要な資料の収集をする必要が生じため、女性研究者の研究キャリアの中断を防ぐために改善を希望したい。次年度には、妊娠、育休中には実施できなかった調査や、また全国への質問紙調査を実施するという使用計画を立てていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、学校現場に新たな負担を強いる調査研究は控える必要があると考えるため、もう一年度繰り越しをして研究を推進することが必要となるであろう。
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Remarks |
指定課題14「聴覚障害と他の障害を併せ持つためにコミュニケーションに困難を抱える障害児・者に対する支援の質の向上のための検討」成果報告書(筆者執筆: PP. 74-78, 104-108, 128-131)
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Research Products
(6 results)