2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K04917
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
名越 斉子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30436331)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 実行機能 / 自己調整 / UDL / 発達障害 / 教師評定尺度 / 保護者評定尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)尺度作成 著者の許諾を得てMcCloskey Executive Function Scale(以下MEFS)(McCloskey, 2016)の日本語版(教師用、保護者用、本人用)の試案を作成した。作成に際し、学校教育や発達に精通した協力者(教師や心理士)と文化適合作業を行い、協力者以外の4名の教師・保護者による回答と意見を元に表現のわかりやすさを吟味した。 その後、パイロット調査として、公立小中学校で収集した小1から中3の教師評定データ(通常学級教師45、特別支援学級5)、保護者評定データ(173)を分析し、全体的には、日本の子供の実行機能の発達の様相の測定、2レベルの実行機能の測定、特別な教育的ニーズのある子供の実行機能の困難の評価が可能であり、日本語版が原版の基本構造を維持していると思われることを確認した。また、いくつかの項目やクラスタで性別や文化の影響について詳細な検討を要すること、また、より明確な項目の表現等の工夫が必要であることが示唆された。なお、通級による指導を受けている子ども6名による自己回答結果は、設問のわかりやすさを現在分析中である。 (2)理論の整理 MEFSマニュアル、実行機能関連論文、学びのユニバーサルデザイン(UDL)関連論文を中心に、実行機能理論の整理を進めた。また、シンガポールの学校視察、Loui Lord博士による公開コンサルやグループコンサルを通じて、学校現場への導入や実施を進める際のポイントについて考えることができた。その一部を日本教育心理学会自主シンポジウムで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究会を立ち上げ、協力者も参加しやすいように工夫しながら研究を進めることができた。また、学校との連携がスムーズであったため、データ収集時期は予定よりもやや遅れたが、当初計画していた時期までに分析を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、原版著者のアドバイスも受けながら、パイロット調査結果の分析と項目の修正を行い、予備調査用尺度を完成させる。パイロット調査結果の一部は、2つの学会で発表する予定である。 予備調査に関しては、学校からの協力をえて、10月から12月に予備調査を行う。また、実行機能の育ちを視野に入れているUDLに基づく実践校の視察論文等を用いて、本尺度結果を踏まえた実行機能を向上させる支援のあり方について引き続き整理を行う。
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Causes of Carryover |
研究会開催および専門的助言を年度末に受ける予定であったが、日程調整がつかず、想定していた会場費、謝金が未使用となった。これらは次年度の早い時期にずらしても、研究の進捗を妨げることはないと判断した。
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