2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K04917
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
名越 斉子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30436331)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 予備調査 / 項目分析 / 自己調整 / 発達障害 / 評定尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は予備調査を行なった。教員対象調査は、A県内の4つの教育事務所および政令指定都市の5つの地域に設置されている特別支援学級等設置校数の比率を考慮し、153の公立小中学校に調査協力を依頼し、教員454 名(回収率64.8%)の回答を得た。保護者調査でも、上記の5地区を網羅するように11の小中学校に協力を依頼し、350名(回収率23.1%)から回答を得た。生年月日(教員)や利用している支援(保護者)などについては、回答しやすいフォーマットや選択肢にする必要性がうかがえたが、自己調整の項目については、修正の必要はないと判断した。 予備調査の結果はパイロット調査の近似していた。まず、子どもの年齢上昇に伴い、自己調整機能の得点も上昇し、本尺度が子供の自己調整機能の発達を反映していることを確認した。その傾向は、保護者回答でより明確であり、教員回答においては、中1で得点が下降し、中1から中3にかけて再び上昇していく傾向が強く見られた。大人が子供に求める自己調整の内容や評価基準は、小学校教員と中学校教員、また、教員と保護者で異なる可能性が示唆された。また、教員回答データを用いて、短縮版の実現可能性を確認した。まず、特別な支援を受けている子どもと受けていない子供の識別力があり、その項目が属しているカテゴリやクラスタ、全項目合計得点との相関が十分に高い項目を抽出し、さらに尺度の全体構成を崩さない形で学習に関わる内容の項目のみを精選した。その結果、14項目が短縮版の候補となった。少数項目でスクリーニング的に自己調整機能の発達を把握し、必要に応じて精査を行う実施できるため、教員のニーズに適していると考えられる。 これらの予備調査と並行し、実際に結果を解釈し、支援の方向性を定める際に活用する理論を整理するため、先行研究の精読や関連学会への参加、学校視察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特別支援学級等設置校長会の協力を得ることができたため、各学校への調査依頼を順調に行うことができた。とりわけ教員の回収率は約65%と十分なレベルであった。一方、保護者からの回収率は予想の範囲ではあるが、やや低めであった。また、特別支援学級や通級の担当教員及び保護者からの回答数がやや少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
予備調査の結果を踏まえ、基本情報の回答ページの書式や表現をよりわかりやすく修正する。また、回収率や回答の信頼性がより高い教員に主軸を置く。その際、地域の偏りによるデータの偏りを防ぐため、対象地域を拡大する。保護者調査は予備調査同様、本調査においても、A県内の特別支援学校等設置校長会を通じて協力依頼を行う。信頼性・妥当性調査については、自己調整機能の育ちや評価に関心のある教員を通じての依頼が望ましいと思われる。いずれの調査も、設置校長会や教育委員会と密に連絡を取りながら進める。これらと併せて、解釈や支援指針を行うための理論や先行研究の整理も引き続き行う予定である。
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