2017 Fiscal Year Research-status Report
大学生における自閉スペクトラム傾向とストレスならびに精神的健康の関連に関する研究
Project/Area Number |
17K04925
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
毛利 眞紀 東京工業大学, 保健管理センター, 特任講師 (50787281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発達障害学生支援 / 自閉スペクトラム症 / 精神的健康 / 大学生 / ストレス対処 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)を持つ大学生は,不安やうつなどの精神的不調を経験しやすく,大学生活が滞ることも少なくない。心身の不調につながる要因を理解し,適切な支援を行うことが求められている。本研究の目的は,一般の大学生を対象とした質問紙調査を通して自閉スペクトラム傾向(以下AS傾向)とストレスならびに精神的健康の関連性を検討し,AS特性が精神的健康に影響するメカニズムの解明に寄与する資料を得ることである。特に,AS特性を持つ人のストレスに対する感情反応の調整,すなわち感情制御の特性が精神的健康に影響を与えていると考え,調査を計画した。本年度の課題は,質問紙バッテリーの作成であった。検討の結果,AS傾向の測定にはAQ日本語版(原著者 Bron-Cohen他, 構成者 若林明雄, 三京房, 2016),ストレッサーの測定には大学生用日常生活ストレッサー尺度(嶋, 2004),ストレス対処の測定にはResponses to Stress Questionnaire (RSQ; Connor-Smith et. al., 2000),精神健康状態の測定にはGHQ精神健康調査票(原著者Goldberg, 日本語版作成 中川・大坊, 日本文化科学社, 2013),全般的な自己受容の状態の測定に自己受容測定尺度(沢崎, 2001)を選定し,原著者や出版元の承諾を得た。RSQは,原著者の承諾を得て,原語から日本語への翻訳と日本の大学生に合わせた項目の調整を行なった。質問項目数や実施上の問題点を確認するため数名の大学生に回答してもらった上で細かな調整を行い,質問紙バッテリーを完成させた。並行して,ASD者のストレスと精神的健康に関する文献研究を進め,その一部と臨床実践を合わせた学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた調査尺度の選定,特にRSQ日本語版の作成が順調に進められ,質問紙バッテリーを完成させることができた。本調査のための調査協力依頼も順次進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は予定通り,複数の大学で調査協力の依頼を行い,大学生を対象に質問紙調査を実施する。ある程度のデータが揃い次第予備分析を行い,検討を進める。並行して,ASDと精神的健康、ストレス対処、感情制御に関する文献研究を進める。
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