2020 Fiscal Year Research-status Report
発達障害のある大学生のための包括的なプランニング力支援プログラムの開発と実践
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17K04942
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 ゆり 長崎大学, 教育学部, 教授 (20290661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田山 淳 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (10468324)
西郷 達雄 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (50622255)
鈴木 保巳 長崎大学, 教育学部, 教授 (90315565)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達障害 / 大学生 / 実行機能 / プランニング力 / 修業支援 / 学生サポーター / オンライン授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
「発達障害のある大学生のための包括的なプランニング力支援プログラムの開発と実践」をテーマに、発達障害のある大学生の修業困難への支援として、本人のプランニング力向上を目指したプログラムとワークブックの作成とその効果検証をゴールに、研究を3段階(研究1~3)に分けて実施中である。研究4年目である2020年度は、応募時には研究3である、開発したワークブックの検証を予定していた。 研究2の段階で2018年度の研究成果として2つの実験変数の発見があり、2019年度には変数を追加した研究を行った。①研究協力者のメンタルヘルスの不調による留年、休学などにより修業困難と実行機能の要因の分析、②サポートを行うサポーター学生の影響という要因を研究2-2とし、研究成果は2019年度には①の学会発表、2020年度には②の成果を学会発表及び論文化することができた。また、現在は②の内容をさらにブラッシュアップし、6月には海外誌に投稿投稿予定である。 併行して2020年度は主として研究3である、学生サポーターがプランニング力支援プログラムを研究協力者に実施する介入研究を予定していたが、コロナ禍により研究協力者である長崎大学に在籍する発達障害のある大学生及びサポーターが年間を通してほとんど登校できず、オンライン授業が中心になったために、研究2の検証である研究3を行うことができなくなった。一方で、授業形態がオンラインに変更したことで発達障害学生の修業困難には様々な様相が生じた。特に、本研究のテーマであるプランニング力に関わる困難を持つ発達障害学生は、修業課題が増大し、修業の困難を明確に示すようになった。よって、追加課題として改めてオンライン授業における発達障害学生の修業困難をオンライン面接等も利用しながら聞き取りを行い、プランニング支援に必要な状況を明確にする作業を行った。その成果を現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、当初に計画した3層の研究デザイン(研究1・2・3)のうち、研究3を行う予定であったが、プログラム開発に関わる大きな実験変数2つ(①②)の発見があり、研究デザインを変更して追加調査を行った。そのため、2020年度には研究全体がやや遅れた状態で始まった。 その上で2020年度は主として研究3である、学生サポーターがプランニング力支援プログラムを研究協力者に実施する介入研究を予定していたが、コロナ禍により研究協力者である長崎大学に在籍する発達障害のある大学生及びサポーターが年間を通してほとんど登校できず、オンライン授業が中心になったために、研究2の追加調査(2020年2~3月に予定)及び研究2の検証である研究3(2020年4月~)を行うことができなくなった。 一方で、授業形態がオンライン授業中心になったことで、発達障害学生の修業困難がさらに顕在化し、本研究のテーマであるプランニング力の弱さを示す学生は非常に困難な状態になった。しかもその困難が輻輳的となりまずはその困難を明確化すること、オンライン授業を念頭においたプランニング力支援プログラムの観点を追加することは研究上においても必須となった。よって、さらに研究2の段階でさらに新しい実験変数が追加(③)されることになった。 上記の理由により、研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
4月~6月は、研究2の追加項目(上記②)である学生サポーター要因に関する研究成果を海外誌へ投稿するための作業を行う。 7月~9月は、蓄積したデータをもとにプランニング力支援プログラムの最終調整とワークブックの素案をまとめる。 さらに10月~3月は、作成したプログラムによるワークブックを発達障害学生に実施する介入研究を行い、その結果からプログラムの検証を行う。オンライン授業が延長し困難な場合には、3月に本研究の成果として作成し教職員に配布した「発達障害とオンライン授業」リーフレットを活用し、研究協力学生と教職員の双方にオンライン授業下での修業困難の実態を再調査しつつ、研究協力学生の1年間の修業に関するフォローアップを行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による研究の遅延が最も大きなな理由である。支援プログラム・ワークブックの印刷・製本の費用を検討していたが、研究の遅延により、次年度支出の予定である。 さらに、研究成果の報告として予定していた学会がすべてWeb開催となったために参加費のみの支出、旅費が不要となった。また、研究成果をもとに「発達障害のある学生とオンライン教育」のリーフレットを作成、印刷したが、学内の教職員への配布が必要となったため、作成を長崎大学障がい学生支援室監修、印刷費は長崎大学ダイバーシティ推進センターの負担としたため、科研費からの支出が必要なくなった。 次年度の使用計画としては、昨年度実施できなかった支援プログラム・ワークブックの印刷・簡易製本のための印刷費、学会参加・発表のための参加・発表費、海外の英文誌への投稿・掲載費、研究遂行に必要な文房具等消耗品の物品費を予定している。
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Remarks |
研究成果をもとに「発達障害のある学生とオンライン教育-多様な学生の学びを支援する考え方と長崎大学でのグッド・プラクティス 2020年度の取組から-」を作成、配布した。長崎大学障がい学生支援室(https://www.sao.nagasaki-u.ac.jp/)に掲載する準備中である。
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