2017 Fiscal Year Research-status Report
高校における特別支援教育充実のための連携型システム・ツールの機能分析と開発
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17K04943
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
衛藤 裕司 大分大学, 教育学部, 准教授 (00284779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 祥治 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (90251008)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高等学校 / NPO / サービス提供 / 発達障害 / カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
日本において,発達障害のある高校生の在籍する高校と契約し,当該高校生に直接,サービス提供を実施しているProfit Organization(PO),NPO(Non-profit Oraganization)は,知られる限り,ほとんど存在していない。そのような中,スクール・カウンセラーによるカウンセリング・サービスは形態的にはこれに近いが,そのサービス提供を行っているのは都道府県教育委員会の生徒指導関係部署である。これは,高等学校において,障害のある生徒を対象とした「特別な指導」が行われてこなかった影響が大きい。そのため,初年度は,教員及び高校生の困りについて調べ,欧米ではそれらをどのような外部専門機関のサービス提供により,支援を補っているのかを調べた。 発達障害のある生徒を教える教員の困りは「専門的な指導方法」,「発問の工夫」,「学習内容のレベル設定」等であった。また,発達障害のある高校生の困りは様々であったが最も多かったものは「自分の考えを話す」という思考・表現に関するものであった。さらに,学校生活時の「友達関係の状態」はとても重要視されていた。 これらに関する研究結果は,日本特殊教育学会代56回大会(名古屋国際会議場)において,研究協力者とともに発表された。 欧米におけるNPO・POに関する高校へのサービス提供は,「発問の工夫」や「学習内容のレベル設定」のようにカリキュラムに関するものはあまり見られなかった。欧米の高校では,教科の授業も大学受験資格用の授業と高校卒業資格用の授業に分かれているところが多く,発達障害のある生徒が高校卒業資格用の授業を受けた場合,かなり柔軟に対応される。そのため,NPO・POによるサービス提供は,高校生の場合,キャリア・ガイダンス(進路指導)やトランジッション(移行)に関するものが多いということが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終目的である発達障害のある高校生のためのサービス提供の軸となる「連携用機能的ツール」は,①発達障害のある高校生自身の自己理解によるサービス提供申請ツール」,②教育課程変更以外の支援・配慮の提供ツール(合理的配慮手続きマニュアル改訂版),③当該高校自身による支援リソース診断ツール」の3つを考えている。これらのうち,①②に関しては,作成及び作成後の実際の使用による検証を経て,改訂版がほとんど完成した。 これら3つの完成は,研究2年目終了時を予定していたが,約半年以上早く完成できることになった。その一方で,予定していた国際学会・国際誌における発表は日程的都合から2年目に持ち越し,発表する予定である。 これらのことからおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画通り,進める予定である。 ただし,通級による指導が全国の高校で始められたことから,必要とされる外部専門家の参入に変化があるかもしれない。学会参加時等に情報収集し,推移を確認する予定である。 また,特別支援学校高等部・高等特別支援学校においては,軽度知的障害のある生徒を指導する教員への助言者として,POである株式会社が参入している例が見られる。株式会社側からの戦略は,幼児期から成人期までの一貫した支援提供であり,高校生段階のサービス提供の充実が予想される。 今後,学会におけるシンポジウムへの参加等を通し,その実態と方向性について検討を行い,欧米のサービス提供との比較を継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会における発表が日程的な都合により実施できなかった。そのため,国際学会・国際誌における発表を次年度に予定した。そのことにより,繰り越す必要が生じた。
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Research Products
(4 results)