2018 Fiscal Year Research-status Report
高校における特別支援教育充実のための連携型システム・ツールの機能分析と開発
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17K04943
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
衛藤 裕司 大分大学, 教育学部, 准教授 (00284779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 祥治 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (90251008)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高校 / 発達障害 / 支援サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
日本におけるProfit Organization(PO)は,少子化の中,学齢期の児童生徒への教育的支援を公費又は私費で利用するサービスの提供を行い始めている。それぞれのPOで共通している方針は「生涯に渡る支援」であり,高校生もその一連の流れの中に属することになる。発達障害のある高校生段階の支援としてこれまでよく知られているものは,高校生段階で発現しやすい併存障害(二次障害)に関するものである。例えば,カウンセリングやコンサルテーション等がこれに相当する。その一方で,近年,POが提供するサービスで増加しているものは,余暇活動の機会提供,就労のための実習機会の提供(インターンも含む),そして,ソーシャル・スキル学習機会提供等である。これらのうち,前者2つの特徴は,POがさらに別の株式会社等と連携し,その支援サービスの提供を実現させていることにある。つまり,幼児期・学童期に支援サービスを提供してきたPOは,高校生段階になるとコーディネーター的なサービス提供を行うようになってきていることが明らかになった。そのため,「カウンセリングや困り」の実態把握のために使用されてきたツールに加え,「生活状況の改善や希望する就労」の実態把握のために使用されるツールが新たに加わってきている。 これらに関する研究結果は,日本特殊教育学会代57回大会(大阪国際会議場),日本LD学会第27回大会(新潟)において,その一部が研究協力者とともに発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終目的である発達障害のある高校生のためのサービス提供の軸となる「連携用機能的ツール」は,①発達障害のある高校生自身の自己理解によるサービス提供申請ツール」,②教育課程変更以外の支援・配慮の提供ツール(合理的配慮手続きマニュアル改訂版),③当該高校自身による支援リソース診断ツール」の3つを考えている。これらのうち,①②に関しては,作成及び作成後の実際の使用による検証を経て,学会発表による検証も終了した。また,支援リソースに診断ツールに関しては,既に個別の教育支援計画様式の中に支援リソースとの関連を明確にする様式を開発し,配布も終了している。 これら3つの完成は,研究2年目終了時を予定していたが,予定通りの完成となった。国内学会においても積極的に発表・シンポジウムへの参加を行ってきた。 これらのことからおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画通り,進める予定である。 少子化によるアルバイト等の人的資源不足,POの将来的経営安定に向けた支援サービスの継続戦略,障害者雇用促進のための一般企業の人材確保という時代の流れの中で,高校の外部専門機関との連携は,「カウンセリングや困り」についての内容に留まったままであり,高校とPO等の間での連携には,かなり意識差がある。通級による指導を基盤にした教育は,小学校・中学校の通級による指導の積み上げ的なシステム構築であると言えるが,発達障害のある高校生からは,トップダウン的な発想における連携が求められるようになってきており,高校と発達障害のある高校生のどちらに照準を合わせ,連携ツールを開発するか微妙なところである。 欧米におけるITP(個別移行計画)はIEPと同じく,法的拘束力を持つ教育サービスであるが,日本の個別教育支援計画は,策定・実行と同程度の機能を有しているとは言えず,連携ツールとして機能させるため,欧米の調査に基づく様々な施策の提案も必要であると考えている。
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Causes of Carryover |
海外調査が日程的な都合により実施できなかった。そのため,次年度に予定した。そのことにより,繰り越す必要が生じた。
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Research Products
(8 results)