2017 Fiscal Year Research-status Report
聞き取り困難を抱える発達障害者に対する支援ガイドラインの構築
Project/Area Number |
17K04946
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
小渕 千絵 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (30348099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 優子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (40594411)
芦谷 道子 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (70452232)
大金 さや香 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (40595740)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 聴覚情報処理 / 支援方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
聴力は正常であるにも関わらず、日常的な聞き取り困難(聴覚情報処理障害、以下APD)を抱える発達障害児者は非常に多くみられる。聞き取り困難は他者とのコミュニケーションに影響し、学校での不適応にもつながりやすい。欧米においては、APD症状に対する補聴手段や聴覚トレーニングの有効性が検討されているが、日本においては、このような支援プログラムが確立していないのが現状である。本研究では、APD症状を抱える発達障害児者に対する支援プログラムを構築し、具体的な方策について検討することを目的とした。 平成29年度は、聞き取り困難を抱える発達障害児者の支援プログラム実施前の聴覚情報処理課題を実施した。クリニックAPD外来に来院した対象児者に対し、客観的評価(基本的な聴覚検査、聴覚情報処理検査及び認知検査)及び主観的評価(聴覚情報処理に関する質問紙(小川ら, 2013)及び、学校での適応に関する調査、面接法)を実施した。この結果、聴覚情報処理検査だけではその聴覚特性を把握できない場合もあり、注意や記憶に関係した認知課題で問題が確認できる場合もみられた。このため、追加で検出力の高い聴覚情報処理検査を追加する意義も認められ、新たな検査課題の開発も行った。 各評価結果については対象児者にフィードバックし、必要な支援内容(聴覚トレーニング、補聴機器の使用、環境調整)のニーズについて聴取した。これらの支援ニーズをもとに、平成30年度からの支援プログラムの適用に向けて準備したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象において、成人例が多く、小児例が少ない傾向がある。このため、平成30年度の支援プログラムの適用に並行して、平成29年度の課題である、支援前の評価実施についてもあわせて行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、聞き取り能力を向上させるための聴覚トレーニング、補聴機器の使用、環境調整を3つの柱とした支援プログラムを各対象児者に実施し、その効果について検証する予定である。補聴機器の使用準備及び環境調整のための資料はできているため、聴覚トレーニングに関しても具体的な方策について改めて検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度には、次年度以降に使用する聴覚トレーニングに関わる費用を支出する予定であったが、平成29年度中の計画内容に遅れが生じたため、その分を次年度に移動し、平成30年度中に支出することとなった。 また学会発表や論文投稿についても、研究データが集まった段階で報告することとしたため、発表や報告に伴う出張費及び英文校正費用が平成29年度中はほとんどかからなかった。しかしながら、平成29年度に予定していた発表及び論文投稿についても平成30年度中に行う予定であり、その分旅費やその他(英文校正費用)については支出が必要となる。
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Research Products
(11 results)