2018 Fiscal Year Research-status Report
聞き取り困難を抱える発達障害者に対する支援ガイドラインの構築
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17K04946
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
小渕 千絵 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (30348099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 優子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (40594411)
芦谷 道子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70452232)
大金 さや香 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (40595740)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 聴覚情報処理障害 / 発達障害 / 補聴援助システム / 聴覚トレーニング / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 2018年度は、発達障害に聞き取り困難を抱える方に適用可能な質問紙の作成、及び支援方法に関わる選択肢について明確にし、継続した支援を希望する対象者に対して実施を行った。 1)質問紙の開発:成人例の聞き取りの状態を把握できる標準化された質問紙がないため、海外で用いられているものを邦訳したものを、健聴者及び聞き取り困難を抱える対象者に実施した。この結果、両群で差がみられ、聞き取り困難を検出するには有用であると考えられた。 2)支援方法の検討:支援方法として、補聴援助システムの利用、注意のコントロールによるトレーニングの有用性、の2点について検討を行った。補聴援助システムの利用については、購入した受信機及び送信機を貸出し、実際の生活の中で有用性について検討して頂いた。この結果、成人例の場合には仕事、家庭の中で、話者が特定されないために、実生活で有用に活用するには難しい例が多かった。家庭内での使用の場合にも、不注意が大きい場合には有効性を実感しずらい傾向がみられた。聴覚トレーニングについて、注意力をコントロールすることにより、聞き取りにどのように影響するかについて、検討を行った。この結果、指導による注意の喚起には聞き取り向上の有効性がみられた。このような支援方法が、継続的に日常生活の聞き取り困難の軽減につながるかどうかについては、今後更なる検討が必要と考えられた。2018年度に得られた研究成果は、2019年度の国際学会、国内学会、論文などで公開していく予定である。 2. 比較となる聴覚障害児者との関係に関する検討についても行った。聴覚情報処理障害について理解する上では、基本的に聴覚に障害のある児者の聞き取りやそれに関わる、言語、心理的な状態の把握が不可欠であり、これらに関わる臨床、データ取集の結果について報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
聞き取り困難と発達障害を抱える対象者については、これまで考えられていた聴覚心理学的検査によっては問題が分かりづらく、また標準化された質問紙が作成されていなかった。また、支援方法についても具体的な効果が示されていなかった。このため、2018年度には、有用な質問紙とさらに支援についての具体的な方法についての検討を行い、その成果を得ることができた。2019年度は引き続き対象例を増やし、支援方法の有用性について明確な結論が出せるようにしたいと考えている。対象例を増やしていくこと、及び成果を論文として公開する点に遅れがあるため、「やや遅れている」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、具体的な支援策の効果について、対象数を増やして検討していく予定である。また結果を国際学会、国内学会にて発表し、さらには具体的な支援策をまとめたパンフレットの作成を目指す予定である。まとめられたパンフレットは、HPからでもダウンロードできるようHPを作成し、誰でもアクセス・取得できるようにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2018年度は、データ収集をスタートするのに時間がかかったことがあり、データ収集にかかる費用、及び論文にまとめることができなかったために、英文校正費用、国際学会での発表費用などがかからなかった。このために使用残額が出てしまったが、2019年度はデータ収集を行いつつ、国際学会での発表を行っていく予定であるため、使用予定である。
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Research Products
(12 results)