2019 Fiscal Year Research-status Report
通常学級担任教師と他者との連携に関する研究:特別支援教育連携尺度の開発
Project/Area Number |
17K04956
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
竹村 洋子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 発達障害教育推進センター, 主任研究員 (10586415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 通常の学級 / 特別支援教育における連携 / 担任教師による評価 / 学級での対応 / 校内連携 / 保護者との連携 / 外部機関との連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、通常学級において児童生徒一人一人のニーズに応じた教育的対応を担任教師が実施するための効果的な連携について指針を得ることを目的としている。 3年目である令和元年度は、質問紙調査を実施する予定であったが、前年度までに行ったインタビュー調査の分析や成果発表を通じて得た知見などを踏まえ、質問紙調査の計画について再度検討を行った。当初の研究計画では、小中学校通常学級担任教師を対象とし、保護者、校内、外部機関との連携について尺度案を作成し、学級での対応との関連について検討するための質問紙調査を実施することとしていた。しかし、全国的に同一尺度によって保護者、校内、外部機関との連携を測定することの可能性や有用性の検討が必要となった。つまり、インタビュー調査の結果やその他の知見より、校内体制や外部機関との連携の状況が画一的ではなく自治体や学校毎に独自の工夫がなされている場合があり、学級での対応に影響を与える連携の在り様は複数の要因により影響を受けていることが考えられた。 小中学校通常学級担任教師を対象としたインタビュー調査の分析結果の概要は以下の通りである。小学校低学年では、外部機関との連携は保護者を介して行われる場合が多く、学校によって対応方針が異なるとの語りもあった。中学年では、学習内容や他児との関係が課題として語られることが多く、保護者との連携や校内連携を行った事例と担任のみで対応した事例があった。外部連携についての内容は少なかった。高学年では、課題への取組が課題となる事例が多く、進路に関して保護者や外部機関との連携が語られるなどした。中学校では、学習上の困難が語られたが必ずしも課題とは捉えられておらず、他の教員との方針共有の難しさや進路に関する保護者や内外との連携について語られる事例があった。小学校までの積み重ねや保護者の気持ちの受け止めの重要性について語られることもあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー調査の結果分析と質問紙調査の準備を進める中で、当初の研究計画で設定していた質問紙調査の内容に検討課題が生じた。当初の研究計画よりもインタビュー調査で豊かなデータが得られたこと、それらの分析結果を踏まえた学会発表による交流などを通して、学校現場の状況について新たな知見を得たことなどが、当初の研究計画についての検討課題を顕在化する要因となった。これらのことを受けて、新たな資料・文献やインタビュー調査において収集済・分析済のデータについて再分析や考察を行うなどして、質問紙の内容などについて再検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、特別支援教育連携尺度の開発を目的として、質問紙調査について予備調査と大規模な本調査を実施することとを中心としていた。これまでの研究の進捗状況やコロナ禍であることを踏まえ、質問紙調査については調査対象の自治体を限定して掘り下げた内容とするか、全国的に使用可能な尺度の開発を目指して汎用性のある内容とするかなど、質問紙の内容を含めて研究計画を再度検討して実施する。それとともに、これまでに得られたインタビュー調査の結果から、通常学級担任教員と他者との連携について質的分析を深めること、通常学級担任教師の他に特別支援教育コーディネーターや特別支援学級担任教師などから得られた語りについても分析を進める。これらのことを通して、通常学級の教員と他者との連携に関して多面的に考察を行い、通常学級において児童生徒一人一人のニーズに応じた教育的対応を担任教師が実施するための効果的な連携について指針を得ることを目指す。
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Causes of Carryover |
質問紙調査の実施を延期したことにより印刷費やデータ入力委託費を中心に次年度使用額が生じた。質問紙調査の実施と分析などに使用する予定である。
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