2021 Fiscal Year Research-status Report
通常学級担任教師と他者との連携に関する研究:特別支援教育連携尺度の開発
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17K04956
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
竹村 洋子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 発達障害教育推進センター, 主任研究員 (10586415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 通常の学級 / 特別支援教育における連携 / 教師による評価 / 学級での対応 / 校内連携 / 保護者との連携 / 他職種・他機関との連携 / 担任教師と児童生徒とのかかわり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、通常の学級において児童生徒一人一人のニーズに応じた教育的対応を担任教師が実施するための効果的な連携について指針を得ることを目的としている。 令和3年度については、前年度までに続き、実施済みのインタビュー調査についてデータ分析や成果発表を行った。それとともに小中学校の通常の学級を担任する教師を対象とした質問紙調査について、新型コロナウイルス感染拡大による学校現場への影響や負担を考慮して、当初計画よりも規模を縮小して実施した。 具体的には、1.通常の学級担任教師による語りの追加分析と通常の学級担任以外の教師による語りの分析を進めた。外部機関との連携は限定的で保護者との連携の状況と関連する可能性があることなど、通常の学級における担任教師の対応や他者との連携に関する考察を深め、一部の結果について学会発表を行った。2.インタビュー調査で得た結果や先行研究を踏まえて質問紙を作成し、「通常の学級における特別な支援を要する児童生徒への支援と連携に関する調査」として、某市立小中学校通常の学級担任教師を対象に悉皆調査を行った(配布数1028部、回収数883部、回収率85.9%)。質問紙は、回答者の概況に関する項目、担任学級に在籍する特別な支援を要する児童生徒の有無と概況に関する項目、連携に関する53項目(校内外との連携26項目、保護者との連携27項目)、問題性評価尺度・対処行動評価尺度(竹村,2008)、特別な支援を要する児童生徒への指導や支援と連携に関する自由記述欄で構成した。得られたデータについて集計や因子分析を進め、特別支援教育連携尺度の作成に着手した。 令和4年度については、1.~2.の分析、研究成果の公開を継続するとともに、通常の学級担任教師と校内外・保護者との連携が学級での対応や担任教師と児童生徒のかかわりに及ぼす影響について検討を進め、本研究の目的の達成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大により実施時期や実施規模を変更することとなったが、令和3年度には質問紙調査を通して量的データを得ることができた。インタビュー調査では、想定以上の豊かな質的データが得られている。研究期間も延長することとなったが、これらのデータを質的・量的に分析することで、研究目的の達成が十分に可能と考えている。そのため、研究の進捗状況としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響により実施時期が遅れ規模も縮小したが、令和3年度には質問紙調査を実施することができた。特別支援教育連携尺度作成と関連要因を検討するための量的データ、インタビュー調査では想定以上の豊かな質的データが得られている。令和4年度は、これらのデータの分析を継続して、通常の学級における担任教師の対応と他者との連携について多角的に分析し、考察する。 1.特別支援教育連携尺度の作成:連携に関する53項目を構成する、校内外との連携26項目・保護者との連携27項目への回答について各々因子分析を行い、校内外連携に関する内容と保護者との連携に関する内容で構成される特別支援教育連携尺度を作成する。小学校教師を対象として作成された問題性評価尺度・対処行動評価尺度(2008)への回答についても因子分析を行い、「児童生徒とのかかわりに対する教師の評価」を測定する尺度として整える。 2.連携が担任教師と児童生徒とのかかわりに及ぼす影響の検討:特別支援教育連携尺度と問題性評価・対処行動評価尺度について相関分析を行って、通常の学級担任教師と他者との連携と「児童生徒とのかかわりに対する教師の評価」との関連を示すことにより、他者との連携が担任教師と児童生徒とのかかわりに及ぼす影響について検討する。 3.通常の学級において特別な支援を要する児童生徒への教育的対応を実施するための、担任教師と他者との連携に関する検討:特別支援教育連携尺度と問題性評価尺度・対処行動評価尺度の分析結果について、担任教師と児童生徒の概況に関する回答(教職経験年数、学校種、学年、児童生徒の様子、学級での対応など)とのクロス集計や質的データで示された概念モデルとのすり合わせを行う。そのことを通して、担任教師と他者との連携に関して、通常の学級において特別な支援を要する児童生徒への教育的対応を実施するための効果的な取組について指針を得る。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により質問紙調査の実施時期が遅れたため、購入予定であった分析ソフト等の購入を延期した。令和3年度中に質問紙調査の配布・回収が終了したため、新たな分析ソフト等を購入し、得られたデータについて多角的に分析を進める。
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