2017 Fiscal Year Research-status Report
日本語書字障害は正しく診断できているか?「日本語書字の乱れの診断法の確立」
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17K04958
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
島川 修一 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40465620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 美保 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70782241)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 書字のみだれ / 評価バッテリー |
Outline of Annual Research Achievements |
書字困難をきたす原因には脳機能障害が関与する場合があるが、本邦では「書字の乱れ」に数値化された基準に基づいた診断方法が設けられていないため、経験的な評価に依存し、正しく診断が行われず、疾患認知度の低下や早期支援の不十分さが懸念される。そこで、本研究では書字の乱れに対して、平成29年度から30年度までは「日本語書字の読みやすさ」を数値化して客観的に評価する標準化されたバッテリーを新規に作成して、数値化された基準に基づいた診断方法を確立する予定である。 現在すでに大学倫理委員会の承認をえて、研究を開始している。評価バッテリーを作成しおわり、一般の小学生を対象に検査を行っていて、今後、データの標準化を行う予定である。われわれの作成した評価バッテリーの内容であるが、過去の文献を参照し、無地のA4の用紙に文書を書かせ、以下のパラメータを測定する(文字大きさ、文字の形が乱れて読みにくいあるいは読めない文字数、アラインメント(直線を引き、何mmはずれたか?)、スピード(ある期間に何文字かけたかを数値で評価)、スペース(文字と文字の間の距離は何mmか?))。何を書かせるかについては、最も親しみがあるWordとしてまず自分の名前をひらがなで書かせる。さらにSKAIPという全学年共通のひらがなの聴写と視写の課題を採用している。文章については、URAWSSという文章課題を用いて、ひらがなで書かせている。日本語には平仮名、片仮名、漢字の文字種が存在するが、まず、平仮名で評価を開始することを考えており、当初は、漢字も書かせることを計画していたが、漢字は基本図形が多数あり、空間的な組み合わせも多数あって、すべてを網羅することが難しいのではないかと考えており、漢字は今回の検討から外すことを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去日本語において、このような研究がなかったため、海外の文献を参考に必要な評価バッテリーのパラメーターを決定していかなければならなかった。日本語特有の表記法(wordとwordはあいだを空けない。一文字でも意味をなすため、一文字でも読みやすさを評価することが可能、3種類の表記方法を持つこと)などがあるため、海外の読みやすさの指標をそのまま日本語に置き換えることが難しく、評価バッテリーの試作を何度も行っていたため。
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Strategy for Future Research Activity |
評価バッテリーを作成したため、データを取り始めている。平成30年末までにデータ収集を完了させ、標準化した評価バッテリーの作成を完了させる。平成30年度末までには論文作成、投稿する。
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Causes of Carryover |
平成29-30年度として、認知機能検査と認知機能検査結果データ解析のために使用するPC及び統計ソフトの費用、旅費:本研究で得られた成果を発信する場としての関連の国内学会(日本小児神経学会・日本小児科学会)への参加のための旅費[1人X 5万円(各年同額)]、ならびに世界的な最新情報の収集と成果発信を目的とした関連の国際学会(国際小児神経学会)への参加のための旅費 [1人X 20-30万円(各年同額)]、認知機能評価をおこなう被験者の交通費及び謝金[130人X 5千円]、また、実験補助および結果のデータ入力補助で発生する人件費を申請した[40回分X 5千円/年]の申請を行ったが当初の予想から遅れて評価バッテリーを作成し始めたため、現在まで使用した研究費はない。
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