2018 Fiscal Year Research-status Report
重症化した吃音児・者の感情および情動に対する支援法の構築と展開
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17K04962
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
塩見 将志 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (60711215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 真哉 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (00296188)
水本 豪 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (20531635)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語聴覚療法 / 吃音質問紙 / 自然で無意識な発話への遡及的アプローチ / 訓練効果 / 適応基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
吃音の発生に関しては、感情・情動系の問題が関連していることや吃音はストレスや不安により症状が重症化することが示されている。感情・情動を含んだ包括的な評価と訓練を一貫して実施している手技としては、吃音質問紙(都筑、2015)と自然で無意識な発話への遡及的アプローチ(Retroactive Approach to Spontaneous Speech:以下 RASS と略す)が挙げられる。しかし現在、RASSを行っている研究者や臨床家は個別にその成果を公にしている状況にある。 本研究では、成人を中心とした重度の吃音児・者に対して、RASSの効果を同一基準で比較ができるように同じ調査項目のもとでの症例集積研究を実施することで、吃音に対する訓練法の科学的根拠を検証するとともに、一人でも多くの重症化した吃音児・者により最適な支援方法を提供することを目指している。 2018年度は、研究代表者が所属する施設で吃音児・者に対し吃音質問紙等での評価を行うとともにRASSを実施し、RASS実施前後のデータを収集した。また同じ調査項目でRASSを実施している研究協力施設でもRASS実施前後のデータの収集が行えたことで、複数の症例での分析を開始しする準備が整ってきた。また研究成果の一部を論文(症例研究)として「音声言語医学」において発表した。 そして2019年度は最終年度の為、今年度上旬には研究代表者が所属する施設および研究協力施設で最終のデータ収集を行う予定である。収集したデータは、単変量解析では、各変数のカテゴリー間で累積改善率を比較し、その差をログランク検定で検討する。多変量解析では、比例ハザードモデルを当てはめ、変数相互の影響を調整した時の各変数と改善との関連を表す改善率の比を計算する。そして、得られた科学的知見をもとに、RASSの訓練効果や予後、さらには限界について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、やや遅れているのが現状である。 本研究の目的は、成人を中心とした重度の吃音児・者に対して、同一基準で比較ができるように同じ調査項目のもとで症例集積研究を実施することにより、RASSの適応基準や科学的根拠などを示すことである。しかしながらRASSは、訓練効果が認められるまでに時間を要することから、共同研究機関の一部で研究協力が困難となったことや訓練が中止・中断となる症例が複数認められたことで、長期間RASSを実施している症例の数が不足している。 そこで今後も研究代表者が所属する施設と研究協力施設においてデータの収集を継続し、収集したデータについて分析を行う。 なお研究成果の一部を論文として「音声言語医学」において公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度が最終年度の為、2019年度上旬には研究代表者が所属する施設および研究協力施設で最終のデータ収集を行う予定である。 収集した吃音質問紙、吃音検査法、STAI、社交不安障害検査のデータを用い、単変量解析では、各変数のカテゴリー間で累積改善率を比較し、その差をログランク検定で検討する。多変量解析では、比例ハザードモデルを当てはめ、変数相互の影響を調整した時の、各変数と改善との関連を表す改善率の比を計算する。そして、得られた科学的知見をもとに、RASSの訓練効果や予後、さらには限界について検討する。そして得られた結果は、日本言語聴覚学会などにおける学会発表や音声言語医学に投稿することなどで研究成果の公表を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
本研究の目的は、成人を中心とした重度の吃音児・者に対して、同一基準で比較ができるように同じ調査項目のもとで症例集積研究を実施することにより、RASSの適応基準や科学的根拠などを示すことである。しかしながらRASSは、訓練効果が認められるまでに時間を要することから、共同研究機関の一部で研究協力が困難となったことや訓練が中止・中断となる症例が複数認められたことで、長期間RASSを実施している症例の数が不足している。 症例の数が不足したことにより、2018年度に購入を予定していた、パーソナルコンピュータと統計処理ソフトの購入を見送った。しかし2019年度上旬には、研究代表者が所属する施設および研究協力施設で最終のデータ収集を行う予定であることから、パーソナルコンピュータと統計処理ソフトを購入し、単変量解析では、各変数のカテゴリー間で累積改善率を比較し、その差をログランク検定で検討する。多変量解析では、比例ハザードモデルを当てはめ、変数相互の影響を調整した時の、各変数と改善との関連を表す改善率の比を計算する。そして得られた成果は、日本言語聴覚学会などにおける学会発表や音声言語医学に投稿することなどで研究成果の公表を行っていくため、学会への旅費や論文投稿費として使用する。
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