2021 Fiscal Year Annual Research Report
Establishing and developing support system for affection and emotions of severe stutterers
Project/Area Number |
17K04962
|
Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
塩見 将志 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (60711215)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 真哉 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (00296188)
水本 豪 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (20531635)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 吃音 / RASS / 社交不安障害 / 合併率 / 訓練効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
吃音の発生に関しては、感情・情動系の問題が関連していることや吃音はストレスや不安により症状が重症化することが示されている。感情・情動を含んだ包括的な評価と訓練を一貫して実施している手技としては、吃音質問紙と自然で無意識な発話への遡及的アプローチ(Retrospective Approach to Spontaneous Speech:以下 RASS と略す)が挙げられる。吃音質問紙では、自らの発話や環境に対する感情・情動といった包括的な評価を通じて問題点を抽出することが可能となっている。しかし現在、このアプローチを採る研究者や臨床家は個別にその成果を公にしている状況にある。そこで本研究は、 成人を中心とした重度の吃音児・者に対して、同一基準で比較ができるように同じ調査項目のもとでの症例集積研究を実施することで、吃音に対する訓練法の科学的根拠を検証するとともに、一人でも多くの重症化した吃音児・者により最適な支援方法を提供することを目的に検討を行ってきた。 吃音では自然治癒が74%認められるが、吃音が治癒しない際には成長するにつれて他者との対応を不安に感じることで、社交不安障害を合併することがあり、合併率は50%と言われている。また社交不安障害は、学業・職業・社交的な機能面で深刻な障害をもたらし生活の質を低下させることから、対応の必要性は非常に高いと考え2020年度以降は、吃音児者が合併する社交不安の状態と社交不安に対するRASSの効果について検討を行ってきた。 社交不安の状態の評価には社交不安障害検査の用いて、初診時の得点とRASS実施後の得点を比較した。2021年12月で観察を修了し、複数の吃音者のデータを分析した結果、初診時に社交不安の問題を合併していると考えられる吃音者は60%存在した。また訓練前後での社交不安障害検査の得点を比較すると統計学上有意な差が認められた。
|