2017 Fiscal Year Research-status Report
Development and application of organic n-type dopant using novel lithium-containing fullerene
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17K04970
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 洋史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (70518258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 豊 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (00334243)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フラーレン / 内包フラーレン / 有機半導体 / 電荷移動錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,関連する三報の論文を発表することが出来た. まず,リチウム内包フラーレンの化学修飾として,ジフェニルメタノおよびフルオレノ基をそれぞれ導入したリチウムイオン内包フラーレンについて,各々発表した(J. Org. Chem. 2017, 82, 5868およびJ. Org. Chem. 2017, 82, 11631).いずれにおいても新規化合物の合成であり,それらの興味深い特性を構造化学的な見地と共にまとめた.これら新規のリチウムイオン内包フラーレン修飾分子は,今後その還元による中性体の取得と,有機半導体膜としてのフラーレン修飾体固体中へのドーピング検討のために用いる予定である. 次に,リチウム内包フラーレンが有機半導体素子中でドーパントとして働くことを示す検討として,有機無機ペロブスカイト太陽電池のホール輸送層に加えることを試みた.spiro-MeOTADと呼ばれるホール輸送材料と共に用いたところ,リチウムイオン内包フラーレンからへの電子移動によりホールドープが起こることがわかった.通常このホールドープはリチウム塩を共存させた上で酸素により起こすのが一般的であるが,そのようなプロセスを経ずに素子として働くことがわかった.またホールドープによりリチウムイオン内包フラーレン自体は還元され中性体となり,これが酸素や水等によるペロブスカイト太陽電池素子の劣化を妨げることがわかった.この結果は,直接的にはリチウム内包フラーレンの電子ドナーとしての働きとは違うが,有機半導体素子中でドーパントとして働きうること,また中性リチウム内包フラーレンが酸素に対するドナーとして働くことを示したものである.本成果はAngew. Chem. Int. Ed., 2018, 6, 5746.にて発表した. その他,化学還元による中性体合成やフラーレン固体中へのドーピング検討を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リチウムイオン内包フラーレンの化学修飾や,それを用いた有機半導体素子の実証に成功し,論文発表も行うことができた.いずれも今後のリチウム内包フラーレンドナーとしての研究に重要な知見である.中性のリチウム内包フラーレンそのものを用いたドーピングによる素子検討や特性評価は進んでいるが,いまだ論文の形にはできていないため,順調な進捗ではあるが予定を上回る程のものではないと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
リチウム内包フラーレンを用いた有機半導体素子作製の検討を前倒しで進めている.当初は単純にバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池のフラーレン材料にリチウム内包フラーレンを混入させることを考えたが,初期的な検討で変換効率の低下がみられたためその方針は変更することとした.対してより単純かつ直接的な素子として,有機無機ペロブスカイト型太陽電池のキャリア輸送層に適用することを開始した.ホール輸送層にはホールドーパントとしてのリチウムイオン内包フラーレンが適用可能であり,論文としてすでに報告した.電子輸送層にはフラーレンが用いられ,これに中性リチウム内包フラーレンを適用する検討をすでに始めており,変換効率の向上が確認されている.今年度はこの,リチウム内包フラーレンを分散させたフラーレン膜の特性評価(エネルギー準位や伝導度)と素子としての最適化に重点を置く.また溶液での分散状態を調べ,そこから得られる膜の性質との相関を得る.
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Causes of Carryover |
概ね予定通りの予算執行出会ったが,中国共同研究先から原料であるLi+@C60塩を提供いただくことができたため,当該年度(2017年度)の予算には若干の余裕が生じた.次年度(2018年度)には,2017年度で得られた知見を元に中性Li@C60を用いたデバイス検討が本格化するため,原料の購入が必須となり,予算を使うことになる.
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Research Products
(15 results)