2019 Fiscal Year Research-status Report
The phase transition of nanoparticles which have hierarchic structures
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17K04980
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
池本 弘之 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (20262496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 崇史 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (70209922)
小田 竜樹 金沢大学, 数物科学系, 教授 (30272941)
畑田 圭介 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (00813700)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 相転移 / 階層性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Biナノ粒子の形状やサイズについての検討を行った。そのために、光学研磨したSi基板上に作成したBiナノ粒子の斜入射小角X線散乱(GISAXS)測定を、高エネ研の放射光施設PFで行った。その結果、特徴的なGISAXSパターンを得ることができた。 GISAXS解析の信頼性向上と迅速化を図るために、深層学習を用いたモデル決定を試み、有効であることを明らかにした。GISAXS解析を行うには、粒子の形状、粒子相関、粒子分布など、多様なモデルの中から適切なモデルを選んで、理論式を用いた非線形最小二乗法解析を行うことが必要である。これまでは、限られたモデル計算から解析者が経験から選択していた。選択の幅を飛躍的に増やし、検討漏れを防ぐために、深層学習によるモデル決定に取り組んだ。計算資源に限りがあったので、GISAXSパターンに最も影響する粒子の形状のモデル決定に絞って検討した。その結果、粒径分布を考慮した場合でも90%を超える正答率を得ることができ、また実際の実験データでも良好な結果を得た。深層学習では、人間が検討できるシミュレーションの何桁も多いデータで学習を行うので、モデル決定の信頼度は飛躍的に向上したと考えている。 Biナノ粒子が、結晶安定相のA7構造からA17構造へ相転移していることを、主としてX線吸収端近傍(XANES)スペクトルの検討で行った。実験から得られるXANESスペクトルは、立ち上がりの形状や、振幅の大きさなどに特徴が見られる。それらの特徴を再現するようなモデルを仮定し、理論コードでシミュレーションを行い、比較検討した。その結果、Biシートは、ピラミッド構造からイス型構造へと変化したと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GISAXS解析におけるモデル決定の信頼性向上と迅速化のために、深層学習による解析を行った。計算資源の制約上、GISAXSパターンに最も影響を及ぼすナノ粒子の形状に絞ったモデルで実行した。その結果、粒径分布に分散を仮定した場合でも正答率が90%を超え、実際の実験結果でも良好な分類が得られた。この研究をもとに、放射光分野で最も注目されるJournal of Synchrotron Radiationに投稿し、年度明けに受理された。 Biナノ粒子が、結晶安定相のA7構造からA17構造へ相転移していることを、X線吸収微細構造(XAFS)データを用いて解析した。局所構造の解析から2種類の共有結合があることを、中距離秩序の解析からA7のピラミッド型からA17のイス型に変化したことを明らかにした。さらにこの結果を補強すべく、解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
深層学習によるGISAXSのモデル決定ができるようになったので、さらに非線形最小自乗解析における初期値推定に取り組む。非線形最小自乗フィッティングでは、初期によって最適値が大きく異なることがあるので、膨大なシミュレーションに基づく深層学習で初期値を推定するのは最終結果の信頼性に寄与する。 Biナノ粒子が、結晶安定相のA7構造からA17構造へ相転移していることを、論文にまとめているところであり、近々投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
斜入射X線小角散乱によるナノ粒子の形状・サイズの変化に関して、変化の状況を精密化するために来年度に新たに実験を予定している。X線吸収端近傍構造の実験をシミュレーションするために、理論計算コードでのシミュレーションを予定している。得られた結果を、インパクトのある国際誌に掲載するために、英文校正を依頼する。
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Research Products
(6 results)