2017 Fiscal Year Research-status Report
プラズモニックPdナノ粒子の単一粒子光散乱分光技術の開発と触媒反応機構の解明
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17K04993
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
須川 晃資 日本大学, 理工学部, 准教授 (40580204)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 局在型表面プラズモン共鳴 / パラジウムナノ粒子 / 光散乱現象 / 光熱変換現象 / コアシェル型ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,微小球形Auナノ粒子を核とした核成長法により種々のサイズ(97, 117, 149, 174, 200, 219 nm)の球形Au(コア)/Pd(シェル)型ナノ粒子を合成した.いずれのサイズとも,Auの局在型表面プラズモン共鳴(LSPR)は厚いPdシェル膜厚で完全に遮蔽されており,Pdナノ粒子のLSPRのみが確認され,光学的には球形Pdナノ粒子として扱えることを実証した.また,97 nmサイズでは近紫外域に双極子モードのLSPRを発現した一方,サイズの増大と共に大きくその発現波長は長波長シフトし,200 nm以上では近赤外域にてLSPRが発現することが確認された.特筆すべきは,これほどの大きなサイズであっても,LSPRの失活プロセスにおいて無放射失活(熱生成失活)が約60 %,放射失活(光散乱失活)が約40 %と無放射失活がやや支配的であったことである.汎用なAuナノ粒子では放射失活プロセスが圧倒的に支配的であるゆえ,上述の結果はPd特有の性質であることが示唆された.またこれらは,境界要素法による計算からも再現され,現在のところ,Pdの誘電率(虚数成分)が近赤外域においてAuよりも飛躍的に高いためであると推察している.すなわち,放射失活プロセスもある程度存在するので,光散乱分光技術を基とする一粒子分光測定のプローブナノ粒子として機能しうることを検証できた他,熱力学的に安定な球形形状で近赤外域の高効率光熱変換特性を有するゆえ,次世代光熱治療材料としての可能性を有することも実証できた. また,単一粒子分光測定のための装置をくみ上げた.当研究室保有のオリンパス社製正立顕微鏡(BX53)・光検出器(Andor社製)に,マルチチャンネル用イメージング分光器(日本分光社製:MK-300)を購入して繋ぎ合わせた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は, 1) 新規Au(コア)/Pd(シェル)型ナノ粒子の合成 2) 電気化学/分光同時測定によるAu/Pdナノ粒子の電子密度調査 3) Au/Pdナノ粒子による単一粒子分光測定技術の開発 を主な課題として挙げた.実際の研究進捗では,1)の合成は問題なく進捗し,また,この粒子の基本光学特性を調査することによって,次世代光熱治療材料としての活用も可能な高機能ナノ粒子であることが実証できた.一方,3)の単一粒子分光測定技術は装置の組み上げは完遂したものの,まだナノ粒子単一の測定の実現には至っていない.また,Au/Pdナノ粒子の電子密度調査は測定条件を探索している状態であり,纏まった結果は出ていない.それゆえ,本研究計画は「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
単一粒子の分光測定技術に関しては,これまでAu/Pdナノ粒子の測定を行ってきたが,未だ成功していない.装置構成に問題があるのか,材料そのものの光散乱特性が弱いためか判断しかねているので,光散乱特性が圧倒的に支配的な100 nmサイズ程度のAgナノ粒子を合成し,その単一粒子分光測定技術を確立する.その後,Au/Pdナノ粒子の測定を行うこととする.また,電気化学/分光同時測定によるAu/Pdナノ粒子の電子密度調査に関しても同時並行して推進する予定である.平成30年度の研究計画は上述の2つの技術を組み合わせたものであるため,上述の完遂にまずは全力を注ぐ.
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Causes of Carryover |
ナノ粒子合成に必要としていた試薬が,合成プロセス上,必要としないことになったため,次年度の使用額が生じた.次年度使用額については,ナノ粒子の電子密度調査に関する実験の試薬の購入に使用する計画である.
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Research Products
(45 results)
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[Journal Article] Hybrids of Two-dimensional Colloidal Crystals and Gold Nanoparticle Assemblies for Effective Surface-enhanced Raman Scattering with High Spatial Reproducibility2018
Author(s)
Miu Danno, Satoshi Yoshinari, Shuto Igari, Jotaro Honda, Takumi Eguchi, Wataru Inoue, Keita Yasuhara, Shuta Hara, Hiroki Ikake, Shigeru Shimizu, Takeshi Toyama, Yasuyuki Kusaka, Nobuko Fukuda, Hirobumi Ushijima, Kouichi Takase, Kosuke Sugawa, and Joe Otsuki
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Journal Title
Chemistry Letters
Volume: 47
Pages: 429-432
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Hole-Transport Materials Containing Triphenylamine Donors with a Spiro[fluorene-9,9'-xanthene] Core for Efficient and Stable Large Area Perovskite Solar Cells2017
Author(s)
Wu, Guohua; Zhang, Yaohong; Kaneko, Ryuji; Kojima, Yoshiyuki; Sugawa, Kosuke; Chowdhury, Towhid H.; Islam, Ashraful; Shen, Qing; Akhtaruzzaman, Md.; Noda, Takeshi; Otsuki, Joe
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Journal Title
Solar RRL
Volume: 1
Pages: 1-9
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Development of Plasmonic Cu2O/Cu Composite Arrays as Visible- and Near-​Infrared-​Light-​Driven Plasmonic Photocatalysts2017
Author(s)
Sugawa, Kosuke; Tsunenari, Natsumi; Takeda, Hideyuki; Fujiwara, Saki; Akiyama, Tsuyoshi; Honda, Jotaro; Igari, Shuto; Inoue, Wataru; Tokuda, Kyo; Takeshima, Naoto; Watanuki, Yasuhiro; Tsukahara, Satoshi; Takase, Kouichi; Umegaki, Tetsuo; Kojima, Yoshiyuki; 他5名
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Journal Title
Langmuir
Volume: 33
Pages: 5685-5695
DOI
Peer Reviewed
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