2018 Fiscal Year Research-status Report
プラズモニックPdナノ粒子の単一粒子光散乱分光技術の開発と触媒反応機構の解明
Project/Area Number |
17K04993
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
須川 晃資 日本大学, 理工学部, 准教授 (40580204)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 局在型表面プラズモン共鳴 / パラジウムナノ粒子 / 光散乱現象 / 光熱変換現象 / コアシェル型ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度に合成に成功した種々のサイズのAu(コア)/Pd(シェル)型ナノ粒子の細胞への取り込みと毒性について調査した. これらナノ粒子をアミノ基を末端に有するポリエチレングリコールで被覆したところ,モデルとして利用したHeLa細胞に容易に取り込まれることを蛍光顕微鏡によって確認できた。ナノ粒子を取り込ませたHeLa細胞にプラズモンの発現波長に該当する近赤外レーザーを照射したところ,HeLa細胞は高効率に死滅に至ることを細胞染色によって検証した.Pdによる触媒活性効果,もしくは光熱変換現象によって生じた強い局所熱が細胞を死に導いた可能性が考えられた.そこで,これらナノ粒子の光熱変換特性を調査したところ,約40%程度の光熱変換効率を示した.それゆえ,光熱変換現象によって細胞が死滅した可能性が高いと現在は考えている.以上の結果は,当初予定していた目的とは若干ずれているものの,球形ナノ粒子でありながら近赤外レーザーでHeLa細胞を死滅させることができる点より,熱力学的に安定形状を有する光熱治療材料として機能しうることを実証できた. 一方,これらナノ粒子の単一粒子分光測定技術に関して,Au(コア)/Pd(シェル)型ナノ粒子の分光特性の測定が可能であることも検証された. さらに,参照のために合成していた異方性Agナノプリズムの局在型表面プラズモン共鳴を利用することによって,アップコンバージョン発光の増強と消光の因子を解明することに成功し,これについては論文掲載にまで至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は以下のように,Pdのプラズモン共鳴によって以下のことが実現された. 1)Au(コア)/Pd(シェル)型ナノ粒子のPdの局在型表面プラズモン共鳴を利用して,モデルガン細胞であるHeLa細胞の光照射による死滅に成功した.触媒活性の光増強の可能性も示唆された一方,光熱変換現象によって細胞死が誘起された可能性まで突き止められた. 2)Au(コア)/Pd(シェル)型ナノ粒子の一粒子分光技術による分光特性の取得が可能になった. また,参照のために合成された銀ナノプリズム粒子を利用することによって,現在注目を集めている三重項-三重項対消滅に基づくアップコンバージョン発光の増強機構を明らかにするという,当初の予定になかったインパクトのある成果も得ることに成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
当年度では,細胞におけるナノ粒子の触媒性能の評価を試みたが,高い光熱変換性能によって細胞が死滅した可能性も示唆された.ゆえに触媒性能を検証するに至っていない.そこで,今後は,Au(コア)/Pd(シェル)型ナノ粒子の触媒性能に重点を置いて研究を進める.バイオ応用にこだわらず,Au(コア)/Pd(シェル)型ナノ粒子のPdの触媒活性のプラズモン増強をモデル触媒反応を利用して調査する.これと同時に一粒子分光技術による触媒反応に伴うプラズモン特性変化について調査する予定でいる.
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Causes of Carryover |
本年度は昨年度に合成法を確立したAu(コア)/Pd(シェル)型ナノ粒子の特性評価が主であった.また,やはり昨年度に構築した一粒子分光測定機器を利用したナノ粒子測定が主であった.以上の経緯より,予想していた額よりも消耗品費が少なくて済んだことが主な理由である.来年度は,モデルとなる触媒反応の模索,およびその評価のための電気化学と分光の同時測定技術の開発を行うために助成金を使用する予定である.
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Research Products
(41 results)
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[Journal Article] Cobalt-doped nickel oxide nanoparticles as efficient hole transport materials for low-​temperature processed perovskite solar cells2019
Author(s)
Kaneko, Ryuji; Chowdhury, Towhid H.; Wu, Guohua; Kayesh, Md. Emrul; Kazaoui, Said; Sugawa, Kosuke; Lee, Jae-Joon; Noda, Takeshi; Islam, Ashraful; Otsuki, Joe
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Journal Title
Solar Energy
Volume: 181
Pages: 243-250
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Precise Control of Localized Surface Plasmon Wavelengths Is Needed for Effective Enhancement of Triplet-Triplet Annihilation-Based Upconversion Emission2018
Author(s)
Jin, Shota; Sugawa, Kosuke; Takeshima, Naoto; Tahara, Hironobu; Igari, Shuto; Yoshinari, Satoshi; Kurihara, Yuri; Watanabe, Shiryu; Enoki, Masami; Sato, Kenta; Inoue, Wataru; Tokuda, Kyo; Akiyama, Tsuyoshi; Katoh, Ryuzi; Takase, Kouichi; Ozawa, Hiroaki; Okazaki, Toshiya; Watanabe, Takayuki; Otsuki, Joe
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Journal Title
ACS Photonics
Volume: 5
Pages: 5025-5037
DOI
Peer Reviewed
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