2017 Fiscal Year Research-status Report
屈折率ナノ制御による有機太陽電池の高効率光閉じ込め技術の創製
Project/Area Number |
17K05001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
久保田 繁 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (60396588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 文彦 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50372339)
水野 潤 早稲田大学, ナノ理工学研究機構, 上級研究員(研究院教授) (60386737)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機太陽電池 / 反射防止 / ナノテクスチャ / モスアイ / 光学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
有機太陽電池の発電性能向上を目的として、屈折率ナノ制御を応用した反射防止構造による光閉じ込め技術に関する検討を行った。デバイス内の屈折率分布を適切に制御することを目指して、ナノテクスチャ(モスアイ構造)及び2層干渉膜から成るハイブリッド反射防止構造を、高屈折率ガラスと組み合わせた統合型デバイスの光学特性を解析した。特性マトリクス法に基づく光学シミュレーションでは、ハイブリッド反射防止構造によるガラス基板前面での反射抑制と、高屈折率ガラスの使用によるガラス基板後面での反射抑制の相乗的な効果により、発電層における光吸収が大幅に促進されることが明らかとなった。また、モスアイを構成する円錐間の隙間や残膜の存在に伴う反射を、ハイブリッド反射防止構造を用いた干渉制御を通じて抑制できることも判明した。この結果は、提案するデバイスの光学性能が、表面テクスチャの形状変化に対して高いロバスト性を有することを示唆している。また、有機太陽電池が室内用発電デバイスとしても注目されていることから、太陽光に加えてLED及び蛍光灯の光源スペクトルにおける反射防止性能の検討を行った。その結果、統合型デバイスでは、室外及び室内光源に対応した波長域での吸収を促進することで、光源によらずに優れた性能が得られることが示された。光学シミュレーションの結果に関する検証を行うため、高屈折率ガラスを用いて有機太陽電池デバイスを試作して発電性能を調査した。その結果、提案するデバイス構成により、幅広い波長の光に対して優れた光閉じ込め効果が得られることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的の通り、有機太陽電池の屈折率ナノ制御に関する検討を行い、統合型デバイスを用いた光閉じ込め技術を提案した。シミュレーションと実験の双方から幅広い検討を行っており、研究全体として顕著な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、ナノテクスチャ表面における干渉層の導入等を検討することで、提案構造の性能をさらに向上させることが主な課題である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、材料等の購入費用が当初予定額に比べて少なかったために生じたものであり、有機太陽電池の実験での材料費として使用する予定である。
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