2018 Fiscal Year Research-status Report
高次ナノ構造を持つ新規容器型物質カーボンナノポットの特異構造と複合協働的機能開発
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17K05008
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横井 裕之 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (50358305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 敬 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (90264275)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノカーボン合成 / 表面電位変調 / グラフェン端 / ヒドロキシル基 / 第一原理計算 / ガス吸着 / ナノ素子作製技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノポットの合成技術開発において、昨年度は触媒塗布基板加熱型合成装置を改造して原料ガスの流路を確保することにより生成物の収量を向上させることができたので、本年度は基板上の限られた部位にしか生成しないという問題を解決すべく、酸化グラフェンへの触媒担持法の改良をおこなった。従来、触媒原料を酸化グラフェン分散液に溶かして金属イオンを酸化グラフェンに吸着させる方式を取っていたが、触媒担持量に限界があった。そこで、酸化グラフェン塗布基板に触媒原料液をスプレー塗布することにより触媒担持量を増やしたところ、基板上に従来よりも均一に中空状カーボンナノファイバーを生成できるようになった。生成物にはナノポットが含まれていることも確認できた。収量を飛躍的に増大できたことにより、ナノポットのグラフェン端終端基の置換やガス吸着特性の評価が容易になるばかりでなく、ドラッグデリバリや複合材料化への適用可能性を検証することも可能となる。 カーボンナノポットのガス検知機能開発ならびに電気伝導機構の解明においては、ナノポット連結ファイバーを用いた良質な素子作製技術の開発が課題となっている。特に、素子作製プロセスにおける基板洗浄作業時にナノポット連結ファイバーが基板から流失しやすいという問題があった。本年度はナノポットを合成基板から素子作製用基板へ転載する工程を見直し、転載工程とレジスト塗布工程の間に、2-プロパノールを基板に少量滴下して自然乾燥させるという一工程を加えるだけで、その後の工程におけるナノポット連結ファイバーの流失をかなり防げることを見出した。この改善により、ナノポット連結ファイバーを用いた素子開発の効率が向上し、ガス検知ならびに電気伝導測定用の良質な素子開発が可能になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カーボンナノポットのガス検知機能開発と電気伝導機構の解明については、本年度中に良質な素子を作製して、各種ガス応答性の調査や極低温・強磁場下測定に供する計画であった。しかしながら、電気伝導測定用素子作製時のナノポットの流失が予想以上にひどかった上に、ナノポットへの四端子オーミック電極形成が容易ではないことがわかり、良質の素子作製に至らなかった。しかしながら、ナノポットの流失問題は解決し、電極形成技術についてもグラフェン素子作製で培ったノウハウを適用することにより、次年度早期に良質なナノポット素子を作製し、ガス検知機能や電気伝導機構の解明を進めることができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
カーボンナノポットの合成については、触媒金属の配合比や塗布方法等の触媒担持条件ならびに炭素原料溶液や合成温度等の合成条件の検討をさらに進めて、収量と収率の向上を図る。 構造・表面解析については、顕微ラマン測定によるグラフェン端構造の解明を進めるとともに、光学顕微鏡で識別される構造とナノポットの高次ナノ構造と関連を明らかにする。 ガス検知機能開発と電気伝導機構の解明では、ナノポットへの四端子オーミック電極形成技術を確立してナノポット素子の良質化を早急にはかり、微量有害ガスの検知能の検証を行うとともに、二端子測定で見出していた極低温・強磁場下電気伝導の特異的ふるまいの再現性を調査する。
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Remarks |
日立造船株式会社での熊本大学との包括連携に関する研究紹介、横井裕之、「ナノ容器にも導電性ナノファイバーにもなるカーボンナノポットの創製」、2019年
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