2018 Fiscal Year Research-status Report
A study of two-dimensional array manipulation technique and single-cell isolation using two-dimensional micro-concave mirror array and Koehler illumination
Project/Area Number |
17K05020
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松谷 晃宏 東京工業大学, 技術部, 主任技術専門員 (40397047)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 単一細胞分離 / マイクロ凹面鏡 / エッチング / リソグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,2次元アレイ凹面鏡とマイクロ囲い構造を組み合わせたチップの製作方法の開発を目標とした.これまでマイクロ囲い構造の製作には半導体プロセス(リソグラフィとドライエッチング)を用いてきたが,広く応用展開するには,研究者自身がテーブルトップで必要な数だけチップを製作できればたいへん効率的である。したがって,なるべく簡便に製作可能な方法の確立を目指した。具体的には,当初予定していたSi基板を用いて,電子線レジストZEP520にEBリソグラフィにより形成した直径数マイクロメートル程度のアレイ状の円形開口のエッチングマスクパターンを用いて,XeF2気相エッチング装置でSi基板の等方性エッチングを行い,数10マイクロメートルの半球形状のマイクロ凹面鏡を形成する方法の代わりに,よりシンプルに製作できる方法を採用した.具体的には,レーザー露光装置によりフォトレジストで2次元アレイマイクロ凹面鏡とマイクロ囲い構造を組み合わせた構造を形成し,その後Niメッキでモールドを製作し,これを基に樹脂へとパターン転写した.その後,金属薄膜をコーティングして反射率を向上させた.この樹脂への転写プロセスは机上で簡単に実施できる方法である.また,この方法では,凹面鏡の形状を球面以外の面とすることも容易であり,集光特性の制御に有利である.実際に,2種類の凹面の鏡を製作し,集光特性の違いを確認している.このチップをケーラー照明下におき,凹面鏡の集光特性を確認し,酵母懸濁液中で複数の酵母細胞を焦点位置に捕獲している兆候を捉えることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,レーザーリソグラフィ装置でフォトレジスト上に直接描画することで半球形状のマイクロ凹面鏡構造を形成した後,メッキにより凹面鏡製作のためのNiモールドを製作した.これを用いて樹脂に転写して球面鏡などのマイクロ凹面鏡を形成した.直径50~100マイクロメートルのマイクロ凹面鏡を金属顕微鏡のケーラー照明下で観察したマイクロ凹面鏡の様子は,凹面上部(基板表面),焦点位置,凹面底部で特徴をもって観測された.集光点とみられる位置では,異なる形状の凹面鏡でそれぞれの特徴を示した集光スポットを観察することができ,本手法で製作した凹面構造が,マイクロ凹面鏡としての集光機能を有することがわかった.また,本マイクロ凹面鏡構造表面にAl薄膜を蒸着及びスパッタプロセスにより成膜し,樹脂表面よりも反射率を向上できることも確認した.XeF2気相エッチングではエッチング面の粗さが大きいが,本手法ではより平滑な凹面鏡表面が得られており,集光効率が改善されている.マイクロ凹面鏡の製作及び形状制御については,本研究の計画の通りの成果が概ね得られたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は,単一細胞2次元アレイトラップチップの製作技術と液体定在波による収集方法の融合に関する研究を予定している.細胞の収集・単一捕獲・アレイ状操作の連続プロセスの実証を目標とする。捕獲した細胞を垂直振動により運動させ,振動数や振幅と集光パワー等に最適条件の実現可能な解を総合的に探索する.石英ビーズ等で原理実験を行った後,酵母を用いて実際の使用環境における検証を行う予定である.
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Causes of Carryover |
本研究の成果発表として論文発表を予定通り進めていたが,出版時期が次年度初めとなったため,論文掲載料分が差として生じた.
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