2021 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of Fluctuation-Controllable Self-Assembled Supramolecular Systems and Elucidation of Their Control Mechanisms
Project/Area Number |
17K05025
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 信一郎 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10262601)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 環状鎖 / 環状ポリエチレングリコール / 金ナノ粒子 / 表面吸着 / 分子動力学シミュレーション / 金ナノシート |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ポリマ ーのトポロジー構造が、その物性に及ぼす影響について興味がもたれ、環状や星型な ど様々なトポロジー構造を持つポリマーが合成されている。前年度まではオリゴチオフェンのトポロジー構造が当然性に及ぼす影響について注目して研究をおこなってきた。本年度はポリエチレングリコール(PEG)の金ナノ粒子表面に吸着する際の環状鎖と直鎖のトポロジーの違いについて分子動力学シミュレーションによる検討をおこなった。直鎖PEGは金ナノ粒子表面に物理吸着しないので、チオール基で末端修飾し化学結合させることが通常おこなわれている手法である。しかし近年、北大の山本らにより、環状PEGが金ナノ粒子表面に物理吸着することが報告された。環状と直鎖のトポロジーの違いは、環状と直鎖のコンフォメーションナルエントロピー、即ち鎖状構造の揺らぎのおおきさの違いによるものと期待され、それによって物理吸着効率が大きく異なることは大変興味深い。この物理吸着のメカニズムを検討するため、分子動力学法により金ナノシートとPEGの吸着シミュレーションを行った。環状/直鎖PEGの各原子上のESP電荷分布は量子化学計算により求めた。金ナノシートにはGolP-CHARMMの(1 1 1)モデルを、溶媒の水にはTIP3Pモデル、PEGの力場にはCHARMM36mを用いた。3次元周期境界条件の直方体中に金ナノシートを1つ、PEGを5もしくは10分子配置し、水を8500分子配置した。系全体のエネルギー最小化を0 Kで行った後、300 Kに昇温し100 ps平衡化した後、MD計算は100 nsおこない後半の50 nsを統計分析に用いた。シミュレーションはそれぞれ5回ずつ行った。吸着確率は環状鎖のほうが直鎖よりも大きい傾向は得られたが、実験値の大きな吸着量の差を再現するほどではなかった。この理由については今後さらに検討していく予定である。
|